生成AI入門トピック第5回 生成AIには、ふだんの言葉で話しかけていい

生成AIを使うとき、こんなふうに思っていませんか?

「ちゃんとした指示を書かないといけない」
「プロンプトの書き方を覚えないと使えない」

前回、生成AIでよくある失敗をお話ししたことで、逆に身構えてしまった方もいるかもしれません。

ですが、生成AIはもっと気軽に使っていいんです。
今回は少し肩の力を抜いて、生成AIとの付き合い方を考えてみましょう。

これまでのシステムは「決まった入力」が必要だった

これまでのシステムでは、人間がシステムに合わせる必要がありました。
例えば、検索エンジンなら、知りたいことをキーワードに直します。

「生成AI 使い方 初心者」

こうした仕組みは、正確に処理するためには必要だったのですが、
使う側は「どこに、何を、どう入力するか」を考えなければなりませんでした。

生成AIは「人間の言葉」から始められる

生成AIがこれまでのシステムと違うところは、日常会話に近い言葉で使えることです。

たとえば、こんな言葉でも会話を始められます。

「この文章、ちょっと分かりにくい気がする」
「上司に送るメールなんだけど、失礼がないか見て」

きれいな命令文でなくても大丈夫です。
むしろ、ふだんの言葉で伝えることで、自分が何に困っているのか、何を気にしているのかが伝わりやすくなります。

「指示」ではなく「相談」から始めてもいい

「指示を出す」というのに慣れない方もいるかもしれません。
そんな方は、少し考え方を変えて、「相談」として話しかけてみましょう。

「この文章、少し冷たい印象になっていないか気になっています」
「相手に失礼がないようにしたいんだけど、この言い方で大丈夫かな」

整った文章である必要はありません。
人に相談するときも、最初からきれいにまとまっていることのほうが少ないですし、話しているうちに、自分が話したかったことが見えてくることもあります。

生成AIも、それに近い使い方ができます。

曖昧なまま話し始めても、やり取りしながら整えられる

一回で完璧な答えを出してもらう必要もありません。
会話しながら、少しずつ形にしていきましょう。

最初は曖昧でも大丈夫です。

「なんかこう、新しいアイデアが浮かんでるんだけど、ふわっとしてて言葉にできない」
「書きたい内容は決まってるけど、どう書いていいか分からない」

返ってきた答えを見て、

「もう少しやわらかくして」
「具体例を入れて」
「専門用語を減らして」

と続けて伝えれば、少しずつ自分の求める形に近づけられます。

まとめ

生成AIを使うために、最初から特別な言葉を覚える必要はありません。

「この文章、どう思う?」
「もう少しやさしく言い換えて」
「考えを整理するのを手伝って」

そんな一言で十分です。

まずは、ふだんの言葉で話しかけてみる。
そこから、生成AIとの距離は少しずつ縮まっていきます。

生成AI活用体験談第5回 AIの情報は古いことがある!飲み会の予算が足りなくなった体験談【AI情報の賞味期限】

「チャッピー、飲み会にぴったりのお店を探して〜!」と頼んだら、予算ぴったりのお店を見つけてくれた——はずが、当日お店に行ってみたら値上がりしていてお金が足りない!

生成AIの情報は、古い場合があります。お店の料金や制度など、変化しやすい情報は必ず最新情報を確認しましょう。リアルな失敗談とともに解説します。

① チャッピーに飲み会のお店探しをお願いした

「今度の飲み会、お店を探さなきゃ!」。そう思った事務員さんがチャッピーに相談すると、「おまかせください!」と頼もしい返事。飲み放題付きコース・お一人様3,000円(税込)のお店をすぐに見つけてくれました。

💬 チャッピーのおすすめ
○○居酒屋|飲み放題付きコース
お一人様 3,000円(税込)
※2024年の情報です

「安い〜!ここで決まり!計算もバッチリ♪」と喜んだ事務員さん。参加人数10人×3,000円=合計30,000円と予算メモに書き込んで、準備は万端のはずでした。

② そして当日…お店に到着!「値上がりしてまして…」

ところが、いざお店のスタッフに案内されてメニューを開いてみると——
「えっ!?お一人様4,000円になってる!?」
「はい、今年から値上がりしまして…」
10人分で一人1,000円の誤差。合計10,000円のオーバーです。「うそーっ!お金が足りない〜!どうしよう〜!!」と大パニックになってしまいました。

③ なぜこうなった?AIの「情報の賞味期限」問題

今回のトラブルの原因は、AIの持つ情報に「賞味期限」があるからです。
ChatGPTをはじめとする生成AIは、学習データの締め切り(カットオフ日)までの情報しか持っていません。その後に起きた値上げ・閉店・制度変更などは、AIには知るすべがないのです。

 AIが持つ情報の限界とは?

生成AIは「学習した時点」の情報をもとに回答します。飲食店の料金・営業時間・メニューはもちろん、法律・制度・商品の価格など、日々変化する情報はAIが把握していない可能性があります。チャッピーが「2024年の情報です」と小さく注記していたのは、まさにそのサインでした。

AIが苦手な「リアルタイム情報」とは

🚫 AIの情報をそのまま信頼しないほうがいい情報

•飲食店・ホテルの料金・営業時間・定休日
•交通機関の運賃・時刻表・路線変更
•法律・税率・補助金・助成金の制度内容
•商品の価格・在庫・発売状況
•企業情報(役員・所在地・サービス内容)
•イベント・展示会の開催情報

④ じゃあ、AIはお店探しに使えないの?

そんなことはありません!AIはお店探しの「最初の候補出し」に非常に便利です。大切なのは、AIの情報をスタート地点として使い、最終確認は必ず公式サイトや電話で行うという流れを守ることです。

✅ AIを使ったお店探しの正しい手順

•AIに条件(人数・予算・エリア・雰囲気)を伝えて候補を出してもらう
•気になったお店の公式サイト・食べログ・ぐるなびなどで最新料金を確認する
•予算に関わる場合はお店に直接電話して料金・空き状況を確認する
•予約時にもコース料金を口頭で確認してから確定する

「いつの情報か」を確認する習慣を持とう

チャッピーが「※2024年の情報です」と書いてくれていたように、AIは回答に情報の時期を添えてくれることがあります。この注記が出たときは要注意のサインです。「この情報は最新ですか?」とAI自身に聞いてみるのも有効です。

💡 AIに「情報の新しさ」を確認するプロンプト例

•「この情報は何年時点のものですか?」
•「最新情報を確認すべき点はありますか?」
•「料金が変わっている可能性はありますか?」

まとめ:AIは「道案内」、最終確認は自分で

飲み会の予算オーバーという痛い体験をした事務員さんとチャッピー。でもこれは、AIを賢く使うための大切な学びでもあります。

AIは膨大な情報の中から候補を素早く出してくれる、頼もしいパートナーです。ただし、料金・営業状況・制度など「今この瞬間」の情報については、必ず公式情報で裏付けをとる習慣を持ちましょう。AIを地図アプリのように使い、目的地の手前で自分の目で確かめる——そのひと手間が、思わぬトラブルを防いでくれます。

生成AI最前線第3回 続・最近話題のClaude Mythosとは? AIの成果と私たちが取るべき対応

先週取り上げた「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」。
この一週間で、さらに動きがありました。

前回は、Claude Mythosがソフトウェアの弱点を見つける力に優れていることを紹介しました。
今回は、その力がどれほどのものなのか、公式の発表をもとに、見ていきたいと思います。

※公式には「Claude Mythos Preview」と呼ばれていますが、この記事では分かりやすくClaude Mythosと呼びます。

1万件超の重大な脆弱性を発見

2026年5月22日、Anthropicは、Project Glasswingという取り組みの初期報告を公開しました。
それによると、世界中で使われている重要なソフトウェアから、1万件を超える深刻度「高」または「重大」の脆弱性を見つけたとされています。

脆弱性とは、ソフトウェアのセキュリティ上の問題のことです。
放置されると、不正アクセスや情報漏えい、サービス停止などにつながる可能性があります。

ここで問題なのは、1万件というのが多いのかどうかということですね。
基本的に、どのソフトウェアも公開前にテストが行われています。
本来、脆弱性はできるだけゼロに近づけて公開されるべきものです。

にもかかわらず、1万件を超える脆弱性が見つかりました。
Cloudflare 社では、重要システム全体で2,000件のバグが見つかり、そのうち400件が高または重大だったとされています。
このような事実からも、その能力の高さを推し量ることができるかと思います。

問題のトリアージが必要

とはいえ、実のところ、生成AIが見つけたものすべてが本物とは限りません。
文章作成と同じように、ハルシネーションを起こすことがあります。
そのため、人間の専門家が確認し、本当に危険なのか、修正が必要なのかを判断する必要があります。

ここで問題になるのが、スピードです。
AIは大量の弱点を見つけられるようになりました。
しかし、それを確認し、開発者に伝え、修正し、利用者にアップデートしてもらうには、人間の手間と時間がかかります。

つまり、「AIが弱点を見つけられるようになった」のはいいものの、「見つける速度に、直す速度が追いつくのか」という新しい問題が出てきているというわけです。

まとめ

Claude Mythosをめぐる最近の動きは、各国に大きな波紋を広げています。
日本やヨーロッパでも、金融機関や公的機関が影響を確認し、対応を進める動きが出ています。

また、ChatGPT を提供する OpenAI 社も、GPT-5.5-Cyber という生成AIを用意し、サイバー防御に関わる「Daybreak」というプロジェクトを立ち上げています。
つまり、サイバーセキュリティの分野でも、生成AI同士の覇権争いが始まりつつあるのです。

一方、これらの活動は、話が大きすぎて、ちょっと他人事のように感じてしまいます。
しかし、私たちも無関係ではありません。

生成AIがサイバー攻撃に使われた場合、これまで以上に、素早く広範囲に攻撃をしかけると予想されます。
そうなると、これまで標的にならなかった私たちの会社も攻撃に巻き込まれるリスクが増えます。

Claude Mythos の成果に基づき、今後、各ベンダー(ソフトウェアを作っている会社)からアップデートが提供される可能性があります。
ユーザーである私たちは、しっかりとそのアップデートを適用しておくことが、身を守る術となります。

一連のニュースを、「すごいAIが出た」という話題で終わらせるのはもったいないです。
しっかりとその意味を理解し、私たちにはどう影響するのかを考えて読み解いていくことが重要です。

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生成AI活用体験談第4回 体重バレた!?ChatGPTに個人情報を入力してはいけない理由と、正しい使い方

「チャッピー、私の情報を入力して相談してみよ〜!」——ダイエットのアドバイスをもらおうと、身長・体重・年齢をそのまま入力しようとしたところ、チャッピーから思わぬ警告が。

AIには個人を特定できる情報を入力しないようにしましょう。今回は、その理由と正しい使い方をやさしく解説します。

① ダイエット中の事務員さん、チャッピーに相談しようとした

「最近ダイエット中だし、アドバイスがほしいな」と思った事務員さん。身長158cm、体重62kg、年齢29歳…と、自分のリアルな情報をそのまま入力しようとしました。気持ちはよくわかります。具体的な情報を伝えた方が、より的確なアドバイスをもらえそうですよね。
ところがチャッピーから、思いがけない警告が届きました。

② 「ちょっと待って!個人情報は入力しないでね!」

チャッピーの返答はこうでした。「ちょっと待って!個人情報は入力しないでね!個人を特定できる情報は入力しないようにしましょう。AIに入力した情報は、学習やサービス改善に使われることもあるよ!」

⚠️ なぜAIに個人情報を入力してはいけないの?
ChatGPTなどのAIサービスでは、入力した内容がサービスの改善や学習データとして利用される場合があります。利用規約や設定によって異なりますが、意図せず個人情報が外部に渡るリスクを避けるためにも、実名・住所・電話番号などの個人を特定できる情報は入力しないことが基本です。

③ AIに入力してはいけない情報とは?

「個人情報」と一口に言っても、何が該当するのかわかりにくいですよね。個人情報以外にも入力してはいけないデータはたくさんあります。以下を参考に確認してみてください。

🚫 AIに入力してはいけない情報
1.個人情報
•氏名・住所・生年月日・電話番号・メールアドレス等

2.公的な識別番号
•マイナンバー・保険証番号・運転免許証番号・パスポート番号等

3.医療、生体情報、ライフスタイル
•健康状態・顔写真・指紋・服薬状況・プライベートな健康関連トピック等

4.子供に関する情報
•子供の名前・学校名・年齢の組み合わせ・画像・教育・家庭環境等

5.財務、金融情報
•未公開売り上げデータ・予算・利益・クレジットカード番号・銀行口座情報等

6.業務機密
•会社の機密情報・未公開の社内データ・お客様情報・取引先の情報等

7.ログイン認証情報
•パスワード・ログイン情報等

8.著作権に関わる内容(許可のないもの)
•書籍の文章・歌詞・セリフ・他人ブログ記事・研究発表等

④ では、どう入力すればいいの?「匿名化」のすすめ

個人情報を伏せつつ、AIから的確なアドバイスをもらう方法があります。それが「匿名化」です。具体的な数値や状況は伝えつつ、個人を特定できる情報だけを取り除くイメージです。

❌ 個人情報が含まれる入力
氏名:山田花子
身長:158cm
体重:62kg
年齢:29歳
食事:コンビニ多め
運動:たまに

✅ 匿名化した入力
身長:158cm程度
体重:やや多め
年齢:20代後半
食事:外食・コンビニ中心
運動:週1回未満
目標:健康的に体重を減らしたい

氏名を削除し、体重は「やや多め」、年齢は「20代後半」のようにぼかすだけで、個人を特定されるリスクを大きく下げられます。それでも、アドバイスの質はほとんど変わりません。

仕事でAIを使うときは特に注意

プライベートな相談以上に気をつけたいのが、業務での利用です。会議の議事録や報告書をAIにまとめてもらう際、お客様の名前・社名・金額・プロジェクト名などをそのまま入力していませんか?会社の機密情報や顧客情報は、必ず匿名化・仮名化してから使いましょう。

✅ 仕事でAIを安全に使う3つのルール
•お客様名・社名は「A社」「B様」などに置き換える
•具体的な金額・数値は「〇〇万円規模」などに丸める
•社内の機密案件は、AIに入力する前に社内ガイドラインを確認する
 (社内AI推進者に確認する)

まとめ:AIは賢いパートナー。でも「何を話すか」は自分で判断しよう

漫画の事務員さんは、チャッピーの警告を受けて情報を修正し、無事にアドバイスをもらうことができました。個人情報の扱いに気をつけることは、AIを安全に・長く使い続けるための大切なマナーです。


AIは便利なツールですが、何を入力するかの判断は、最終的に私たち人間がしなければなりません。「このまま入力していいかな?」と少し立ち止まる習慣が、自分と会社の情報を守ることにつながります。

生成AI入門トピック第4回 生成AIでよくある失敗と、うまく使うコツ

生成AIに初めて触れたとき。
多くの方は、お手本に習って指示を出したと思います。

でも、いざ自分で試してみるとうまくいかない。
そんな経験はありませんか?

実は、生成AIが「使えない」と感じる原因の多くは、
使い方ではなく「ちょっとしたコツ」にあります。

今回は、うまくいかないケースの代表例と、
その改善方法について、お話していきたいと思います。

ケース1:丸投げしてしまう

❌ 失敗例

新しいサービスのアイデアを考えたいです。

⇒思っていたのと違う方向性で話が進んでしまう

🤔 なぜ起きるのか

  • 情報が足りない

💡 改善

  • 箇条書きで条件を伝える

📝 例

新しいサービスのアイデアを考えたいです。

・目的:AIを使って中小企業の役に立つ
・条件:あまりお金をかけずに始められる

アイデアをいくつか出してください。

ケース2:1回で完璧を求める

❌ 失敗例

AI講座のキャッチコピーを考えてください。

⇒どの案もイマイチ、「使えない」と判断

🤔 なぜ起きるのか

  • 生成AIを「完成品生成機」と思っている

💡 改善

  • たたき台として使う。「もう少し○○にして」と修正する

📝 例

2番のキャッチコピーを、もう少し親しみやすい表現にしてください。

ケース3:そのまま使ってしまう

❌ 失敗例

添付の文字起こしファイルを元に議事録を作成してください。

⇒それっぽいものができたので、そのまま回覧。内容がおかしいと指摘される

🤔 なぜ起きるのか

  • 内容を確認せずそのまま使う
  • 生成AIの結果には、間違いが混ざることがある

💡 改善

  • 必ず一度読んで確認する
  • 分かりにくい表現や誤表記を、自分の言葉に手直しする

📝 例

出力された議事録を確認し、
・日時や参加者に誤りがないか
・発言内容が正しいか
をチェックして修正する

ケース4:使わなくなる

❌ 失敗例

  • とりあえず触ったけど、それで終わり

🤔 なぜ起きるのか

  • 使う目的がない
  • 使う必要のないところに無理して使っている

💡 改善

  • 小さな悩みから使う(文章・調べ物・比較など)
  • 他の人の使い方を真似する

📝 例

  • お礼メッセージの手直しに使う
  • 選択肢のメリット/デメリットを洗い出させる

まとめ

生成AIを使いこなすには、ちょっとした慣れが必要です。
人に指示を出すときにコツがあるように、
生成AIに指示を出すときにも、ちょっとしたコツがあります。

失敗することもありますが、「試す→直す」を繰り返すのが大事です。
試しながら、少しずつコツをつかんでいきましょう。

生成AI活用体験談第3回 「いい感じにまとめて」はNG!ChatGPTに伝わる指示の出し方【プロンプト入門】

上司に「いい感じにまとめて」と言われて困ったことはありませんか?
実は、AIへの頼み方も同じ。「いい感じに」と伝えただけでは、チャッピーも「え、えっと…」と困ってしまいます。

AIは、具体的に伝えるほど、より良い回答ができます。この記事では、すぐ使えるプロンプトのコツをやさしく解説します。

① 上司の「いい感じに」に途方に暮れた事務員さん

「上司に『いい感じにまとめて』って言われたけど、どうしたらいいの〜!?」——このセリフ、身に覚えがある方も多いのではないでしょうか。

「いい感じ」という言葉には、目的も、対象も、ボリュームも何も含まれていません。だからこそ困ってしまうのです。これはAIに対しても、まったく同じことが言えます。

② 「いい感じにまとめて〜!」とチャッピーにお願いしてみた

藁にもすがる思いでチャッピー(ChatGPT)に「いい感じにまとめて〜!」と入力した事務員さん。チャッピーの返答は——

💬 チャッピーの返答

「いい感じ」だけでは判断できません!目的・対象・トーン・文字数などを具体的に教えてください!

そう、AIは「いい感じ」という曖昧な指示だけでは動けません。これはAIが賢くないのではなく、AIが言葉通りに受け取る存在だからこそ起きることです。

③ 「シュッとして、ふわっとして、バシッとした感じ」でフリーズ!

「よし!では『シュッとして、ふわっとして、バシッとした感じ』でお願い!」と意気揚々と入力した事務員さん。しかし結果は——

🚨 エラー:意味を解釈できません
チャッピー、フリーズ———!!!

感覚的な言葉、擬音語、抽象的な形容詞はAIには伝わりません。「シュッとした」「ふわっとした」は人間同士なら通じても、AIには解釈のしようがないのです。

ChatGPTに伝わる「プロンプト」の4つのコツ

❌ 伝わりにくい指示
「いい感じにまとめて」
「シュッとした文章で」
「かっこいい感じに」
「ふわっと書いて」
✅ 伝わる指示
「300文字以内で箇条書きに」
「20代女性向けのやわらかい文体で」
「結論を最初に書いて」
「専門用語を使わずに」
  • コツ① 目的を伝える
    何のためにまとめるのかを最初に書きましょう。「社内共有用の報告書として」「SNS投稿用に」「お客様へのメール文として」など、用途が明確になるだけで出力の質がぐっと上がります。

  • コツ② 対象読者を伝える
    「誰が読むか」を伝えると、文体やレベル感が変わります。「AI初心者の事務員向けに」「経営者向けに」「小学生にもわかるように」など、読者像を一言添えるだけで効果的です。

  • コツ③ 文字数・フォーマットを指定する
    「300文字以内」「箇条書きで5点」「見出しをつけて」など、形式を具体的に指定しましょう。何も指定しないと、AIは自分で判断して出力するため、期待と違う形になることがあります。

  • コツ④ トーン・文体を言葉で説明する
    「ビジネスメール調で、丁寧だが硬すぎない表現で」
    「友人への連絡のようなカジュアルなトーンで」
    「簡潔でキレのある、広告コピー風の文体で」
    「です、ます調で格調ある文書で」
    など、感覚ではなく言語化できる言葉でトーンを伝えましょう。「シュッとした」ではなく「簡潔でテンポよい」と言えばOKです。

すぐ使える!プロンプトのテンプレート

📋 プロンプトの基本テンプレート
【目的】〇〇のために、
【対象】〇〇向けに、
【内容】以下の内容を
【形式】〇〇文字以内・箇条書きで
【トーン】〇〇な文体でまとめてください。

✅ 実際の入力例
•「社内共有用の報告書として、チームメンバー向けに、以下の会議メモを、箇条書き5点・300文字以内で、簡潔な文体でまとめてください。」
•「お客様へのお礼メールとして、40代のビジネスパーソン向けに、打ち合わせの御礼と次回日程の確認を、200文字程度・丁寧な文体で書いてください。」

まとめ:AIは「具体的に伝えるほど賢くなる

実際の最新AIは「フリーズ」はしません。漫画ではチャッピーがフリーズしてしまいましたが、実際のChatGPTなど最新のAIは、多少曖昧な指示でも「こういう意味でしょうか?」と確認したり、自分なりに解釈して何らかの回答を出そうとします。

ただし、曖昧なまま答えた結果、期待とはまったく違うアウトプットが返ってくることがあるのも事実。「とりあえず答えは出たけど、全然違う…」という体験を防ぐためにも、最初から具体的に伝える習慣をつけることが大切です。

AIはあなたの指示に誠実に応えようとしているからこそ、具体的な情報を必要としてます。AIに伝える言葉を磨くことは、思考を整理する練習にもなりますよ!

生成AI最前線第2回 最近話題のClaude Mythosとは? すごすぎる生成AIの現在

「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」という名前を聞いたことはあるでしょうか。
最近、生成AIの分野で話題になっている言葉です。

Claudeは、アメリカのAnthropicという会社が提供している生成AIです。
ChatGPTと同じように、文章を書いたり、質問に答えたり、プログラムを書いたりできます。

ただ、Claude Mythosが注目されているのは、単に「文章がうまい」「回答が賢い」という点だけではありません。
「ソフトウェアの脆弱性、つまり、セキュリティ上の問題を見つける力が非常に高い」とされている点です。

※公式には「Claude Mythos Preview」と呼ばれていますが、この記事では分かりやすくClaude Mythosと呼びます。

何がそんなにすごいのか

これまで生成AIは、「文章を書いてくれる」「プログラムの手伝いをしてくれる」ものとして見られてきました。

しかし、Claude Mythosで注目されているのは、その先です。
複雑なプログラムを読み解き、どこに弱点があるのかを探せるようになってきたのです。
条件によっては、人間より先に、AIが弱点を見つける場面も出てくるようになりました。

実際、Claude Mythosは、主要なOSやWebブラウザを含む重要なソフトウェアから、多くの深刻な弱点を見つけたと説明されています。
中には、27年近く見つかっていなかったものもありました。

何が問題なのか

一見すると、これは素晴らしいことに思えます。
AIが自動で弱点を探してくれるのですから、人間より早く、的確に、弱点に対応できるようになるはずです。

問題は、これが悪用された場合です。

もし、悪意を持った人の使うAIが先に弱点を見つけてしまった場合、どうなるでしょうか?
悪意を持っているわけですから、当然、その弱点を狙って攻撃してきます。

ですが、守る側がその弱点にまだ気づいていなければ、すぐに対策をとることは難しくなります。
攻撃を受けてから原因を調査し、初めてその弱点に気づく、ということも起こり得ます。

これでは遅いのです。

何をしたのか

そこでAnthropicは、Claude Mythosを誰でも使える形では公開せず、防御目的で活用できる限られた組織に提供する形を取りました。

この取り組みが「Project Glasswing(プロジェクト・グラスウィング)」です。
これには、AppleやGoogle、Microsoftなど、世界的なIT企業が名を連ねています。

特に金融分野では、各国で対応が進んでいます。
アメリカでは大手銀行がClaude Mythosへの対応を急いでおり、ヨーロッパでも銀行に備えを促す動きが出ています。
日本でも、メガバンクがClaude Mythosにアクセスできるようになる見込みだと報じられています。

まとめ

Claude Mythosの話題は、生成AIの機能が新たなステージに到達したことを意味しています。

これからの生成AIは、プログラムを作るだけではありません。
プログラムの弱点を探し、直し、防御に役立てるところまで広がっていくかもしれません。

ですが、便利になる一方で、悪用されたときの影響も大きくなります。
だからこそ、「すごいAIが出た」で終わらせるのではなく、そのAIが何に使われるのか、どのように管理されるのかにも目を向ける必要があります。

生成AI活用体験談第2回 ChatGPTに議事録を作ってもらったら、知らない人が出席していた話【AI活用の落とし穴】

「会議メモをチャッピーに渡したら、数十秒で議事録が完成!さすが…!」と感動したのも束の間——

出席者一覧に、見たことのない名前が。「…誰?会議に3人いたっけ?」
AIはすごく便利。でも、内容は必ず自分で確認しようというリアルな体験談をお届けします。

① 会議が終わって、議事録づくりの憂鬱

会議は長かったし、メモはバラバラ…。議事録をまとめるのって、実はかなり時間がかかる作業ですよね。内容を整理して、参加者を確認して、決定事項と宿題をわかりやすくまとめて——。

「ふう…大変だなぁ…」と途方に暮れていたそのとき、事務員さんはチャッピー(ChatGPT)に頼ってみることにしました。

② チャッピーに会議メモを渡してみた

「チャッピー、この会議の内容を議事録にまとめてくれる?」とお願いすると、チャッピーは「まかせてください!」と即答。

ChatGPTへの伝え方のコツは、できるだけ情報を整理して渡すこと。
たとえばこんなふうに入力します。

以下の会議メモをもとに、議事録を作成してください。

・日時:4月28日(月)10:00〜11:30
・場所:会議室A
・出席者:山田さん、鈴木さん
・議題:今年度の目標について、新サービスの進め方、その他
・メモ:(箇条書きで貼り付け)

③ 数十秒後…あっという間に完成!さすがチャッピー!

「わぁ〜!すごい…!きれいにまとまってる!さすがチャッピー!!」
整然とした議事録が、あっという間に出来上がりました。フォーマットもきれいで、このままメールに貼り付けられるクオリティ。AIの議事録作成能力には、思わず感動してしまいます。

■ 日時:4月28日(月)10:00〜11:30
■ 場所:会議室A
■ 出席者:山田さん、鈴木さん、霊子さん
■ 議題:1.今年度の目標について 2.新サービスの進め方 3.その他

④ でも…よ〜く確認してみると?「…誰?」

「…待って。出席者に霊子さんって誰?会議に3人いたっけ?」

AIが、実在しない(?)出席者を追加していたのです。これは「ハルシネーション」と呼ばれるAI特有の現象で、もっともらしい内容を自信満々に作り上げてしまうことがあります。

⚠️ AIの「ハルシネーション」とは?
・AIが事実ではない内容を、自信を持って出力してしまう現象
・議事録・数値・人名・日付などで起こりやすい
・見た目は完璧でも、中身が間違っていることがある
・必ず人間の目で最終確認することが重要

ChatGPT(生成AI)で議事録を作るときの正しい使い方

AIはあくまで「たたき台を作るアシスタント」です。スピードと構成力は抜群ですが、最終的な正確性の責任は人間が持つ必要があります。

✅ AI議事録を安全に使うための3つのポイント
・出席者・日時・場所は必ず元のメモと照合する
・決定事項・数字は特に念入りにチェックする
・AIの出力は「下書き」として扱い、必ず人間が最終確認してから
 共有する

それでもChatGPTは議事録作成に超便利!
注意点はあるものの、ChatGPTの議事録作成能力は本物です。バラバラなメモを整理する時間が大幅に短縮でき、フォーマットも統一できます。確認作業さえきちんとすれば、業務効率化の強力な味方になります。

まとめ:AIはとても便利!でも、内容は必ず自分で確認しよう

「数十秒でここまでできるの!?」という感動と、「霊子さん誰…」というゾッとする体験を同時にした事務員さん。このリアルな失敗談は、AI活用のいちばん大切な教訓を教えてくれています。


ChatGPT(生成AI)は、使い方次第で仕事を大きく楽にしてくれるツールです。でもだからこそ、過信せず、最後は自分の目で確かめる習慣を持つことが大切。チャッピーと上手に付き合いながら、賢くAIを活用していきましょう。

生成AI入門トピック第3回 こんなときに使える! すぐ試せる生成AIの使い方

前回、生成AIを実際に触ってみた方も多いのではないでしょうか。
ただ、

「で、これ何に使うの?」
「どういうときに使えばいいの?」

と感じた方もいると思います。

実は、特別な使い方を考える必要はありません。
普段のちょっとした「悩み」が、そのまま使いどころになります。

ここでは、よくある3つの場面を紹介します。

① 文章に自信がないとき

「これで失礼じゃないかな……」
「ちゃんと伝わるかな……」

ちょっとした文章だけど、そんなふうに迷うことってありますよね。

生成AIは、こういうときにかなり役に立ちます。
文章を整えたり、言い回しを考えたりしてくれます。

例えば👇

お礼のメッセージを考えてください。

・内容:○○
・相手:○○

丁寧な文章にしてください。

一から書いてもらってもいいですし、
自分で書いた文章を入れて「整えてください」と頼むのもおすすめです。

そのまま使える例はこちら👇

お礼のメッセージを考えてください。

・内容:お中元ありがとうございました。社員一同、美味しくいただ
きました。皆さまも健康に気を付けて。
今後ともよろしくお願いします。
・相手:最近取引を始めた会社

丁寧な文章にしてください。

② 調べたけどよく分からないとき

ネットで調べてみたけど、

「読んだけど、結局よく分からない……」
「難しくて理解できない……」

そんな経験はないでしょうか。

生成AIは、こういう「分かりにくい情報」をかみ砕いて説明してくれます。

例えば👇

この記事の内容を、分かりやすく説明してください。
(ここに記事の文章を貼り付け or アップロード)

これだけでも、かなり理解しやすくなります。

さらに、

「中学生でも分かるように」
と一言付けると、よりシンプルな説明になります。

こういった難しい内容も、ぐっと分かりやすく👇

この記事の内容を、中学生でも分かるように説明してください。
https://www.ipa.go.jp/digital/ai/security/ai_security_tips.html

③ 何を選ぶか迷っているとき

「どっちがいいんだろう……」
「なかなか決めきれない……」

そんなときにも、生成AIは使えます。

考えを整理したり、比較するための情報を出すのが得意です。

例えば👇

次の2つで迷っています。
それぞれのメリット・デメリットを教えてください。

・A
・B

改めてメリット・デメリットを並べてもらうことで、判断しやすくなります。

コピペで試せます👇

次の2つで迷っています。
それぞれのメリット・デメリットを教えてください。

・冷えが悪くなってきた冷蔵庫を買い替える
・冷えが悪くなってきたエアコン(2部屋)を買い替える

まとめ

生成AIは、特別なことに使う必要はありません。

  • 文章に迷ったとき
  • 調べてもよく分からないとき
  • 何かを決めきれないとき

こうした日常の悩みが、そのまま使いどころになります。

難しく考えず、まずは身近なところから試してみてください。
使っていくうちに、自分に合った使い方が見えてくるはずです。