生成AI最前線第4回 生成AIの便利さの裏側にあるもの データセンターと電力の現実

生成AIの登場によって、私たちの生活や仕事は少しずつ変わってきました。
文章を書くのは楽になりましたし、調べ物も手早くできるようになりました。

ですが、その裏側でも大きな変化が起きています。
それが、データセンターの電力需要です。

生成AIの裏側にはデータセンターがある

生成AIは、私たちのスマホやパソコンの中だけで動いているわけではありません。
質問を送ると、その情報はデータセンターと呼ばれる大きな施設に送られ、そこで処理されます。

データセンターには、多数のサーバーが並んでいます。
これらを使って生成AIの答えを生成するのですが、その際、大量の計算が行われています。

そして、大量の計算には大量の電気が必要です。
また、大量の電気を使って計算すると、大量の熱も発生します。
サーバーは熱に弱いので、発生した熱を冷却するための設備が必要です。
この冷却にも、少なくない電力が使われます。

そのため、大規模なデータセンターでは非常に大きな電力が必要になります。
国際エネルギー機関は、2024年の世界のデータセンターの電力消費を、世界全体の電力消費の約1.5%と推計しています。
割合だけ見ると小さく見えるかもしれません。
しかし、データセンターは特定の地域に集中しやすいため、その地域の電力網には大きな負担になることがあります。

データセンターに圧迫されるアメリカの電力事情

特にアメリカでは、AI向けデータセンターの建設が急速に進んでいます。
その結果、電力をどう確保するのか、送電網をどう整備するのか、電気料金に影響しないのか、といった問題が出てきています。

実際、アメリカではデータセンター建設に対する反対運動も起きています。
ニュージャージー州ミルビル市では、電力や水の消費、公共料金への影響、騒音などへの懸念から、大規模データセンターの新規建設を禁止する決定が出されました。

また、環境問題も浮き彫りになってきています。
たとえばMicrosoftは、AIやクラウドの拡大などを背景に、2020年と比べて温室効果ガス排出量が23.4%増えたと公表しています。
報道では、AIデータセンターの拡大によって、2030年のクリーンエネルギー目標を見直す可能性も指摘されています。

生成AIを支える施設は、便利な技術の裏側にある一方で、地域の暮らしにも影響を与える存在になりつつあります。

日本にもいずれ、データセンターの電力問題は訪れる

日本ではどうでしょうか?

実は日本でも、データセンターの整備は進んでいます。
千葉県の印西・白井エリアでは、約250MW規模の大規模データセンターキャンパス計画が発表されています。
また北海道苫小牧市でも、日本最大級のAIデータセンターが2026年度に開業予定です。
アメリカほど大きな問題になっているわけではありませんが、日本でも無関係な話ではありません。

もちろん、アメリカと同じ問題がすぐに起きると決まったわけではありません。
ただ、国内でAIを活用する動きがさらに広がれば、それを支える設備も必要になります。
日本でも、早めに考えておきたいテーマです。

まとめ

生成AIは、とても便利な道具です。
一方で、それを実現するために、大きなコストがかかっているのも事実です。

今回は電力を取り上げましたが、ほかにもサーバーの部品に使われるレアメタルの問題などもあります。
便利さが強調される一方で、解決していかなければならない課題も存在するということです。

これからAIがさらに広がっていく中で、便利さだけでなく、私たちの暮らしへの影響にも目を向けていきたいところです。

生成AI活用体験談第6回 ChatGPTだけじゃない!ClaudeもGeminiも…生成AIの「モテ期」到来!?それぞれの得意なことと使い分け方

チャッピーとも仲良くなってきたし、そろそろ他の生成AIも使ってみたいな…」——夢の中に現れたのは、個性豊かな生成AIたちでした。生成AIには、それぞれ得意なことがあります。目的に合わせて使い分けてみましょう♪
今回は、主要な生成AIの特徴と、シーン別の使い分け方をやさしく解説します。

① 「そろそろ他の生成AIも使ってみたい」——モテ期の夢

チャッピー(ChatGPT)との日々にすっかり慣れてきた事務員さん。ある夜、夢の中に個性豊かな生成AIたちが現れて、「え、ええ〜!?みんなカッコいい〜!どうしよう〜!!♥」と大騒ぎ。

——しかしジリリリとアラームが鳴り響き、「ハッ!!」と目が覚めたら、全部夢でした。「夢だったか…ガクーン…」と項垂れる事務員さんの横で、チャッピーがジト目を向けているのでした。

笑えるオチですが、夢の内容は本当のことです。今、世の中にはChatGPT以外にも、個性豊かな生成AIがたくさん登場しています。

② 夢に現れた3人(?)の生成AI

漫画に登場した3つの生成AIを紹介します。名前の由来も、なんとなくわかりますか…?

Claude
蔵人(くろうど)= Claude
「いつでも相談してね。君の考えを一緒に深めていこう。」

Anthropicが開発した対話・文章生成に特化した生成AI。安全性と誠実さを設計の中心に置いており、長文の読解・要約・文章の添削・複雑な思考の整理が得意。丁寧で誠実な回答スタイルが特徴。
長文読解文章作成思考整理

Gamma
カン・マ= Gamma
「僕と一緒に、最高の資料を作ろうよ!」

テキストを入力するだけでAIが自動でプレゼンスライドや資料を生成するクリエイティブツール。デザインの知識がなくても、見栄えのよいスライドや提案書をすばやく作れるのが最大の強み。
スライド自動生成資料作成デザイン不要

Gemini
ジェミニー= Gemini(ジェミニ)
「君のアイデアを形にするの、得意なんだ。一緒に未来をつくろうよ。」

Googleが開発したマルチモーダル生成AI。テキストだけでなく画像・動画・音声など複数の形式を横断して理解・生成できるのが最大の特徴。GmailやGoogleドキュメントとの連携も強力。
マルチモーダル画像・動画対応Google連携

ChatGPTも含めた4つのAIを比較してみよう

AI開発元ひとことで言うとこんな人におすすめ
ChatGPT
チャッピー
OpenAI
(アメリカ)
何でもこなせる
万能型AI
まずAIを使ってみたい初心者・日常的な相談全般に
Claude
蔵人
Anthropic
(アメリカ)
対話・文章生成に
特化した生成AI
長い文章を読み解きたい・丁寧な文章を書きたい人に
Gamma
カン・マ
Gamma Tech,Inc.
(アメリカ)
AIが自動で資料を
生成するツール
プレゼンや提案書をすばやく・きれいに作りたい人に
Gemini
ジェミニー
Google
(アメリカ)
マルチモーダル
生成AI
画像や動画も扱いたい・Googleツールをよく使う人に

シーン別・使い分けガイド

「どれを使えばいいの?」という疑問に、目的・シーン別一例をお伝えします。

💼 仕事の文章・思考整理
Claude:長い報告書・契約書の要約、企画書の添削、複雑な問題の整理。じっくり考えたい場面で活躍

ChatGPT:メール文章・議事録まとめ・アイデア出しなど、幅広い業務の万能サポーター、会話しながら進めたい作業に強い


📊 プレゼン・資料作成
Gamma:「〇〇についてスライドを作って」と入力するだけで、デザイン済みのスライドが自動生成。デザインが苦手な人に最適

Gemini:Googleスライドと連携したスライド作成・画像を使った資料の読み取りや説明に


🖼️ 画像・動画・マルチメディア
Gemini:写真の説明・図表の読み取り・動画の内容理解など、テキスト以外の情報を扱う作業に強い

ChatGPT:画像の生成・分析にも対応(有料版)。幅広い視覚的タスクをこなせる、クリエイティブなアイデアを視覚化したいときに


📚 学習・日常の相談
ChatGPT:語学・料理・旅行プランなど、気軽な日常の相談全般に。初心者の入口として最適

Claude:難しい本や資料を読み解きたいとき。「なぜ?」を深く掘り下げたい場面で力を発揮

Gemini:Google検索・YouTubeと連携した情報収集。最新情報にも比較的強い

迷ったら「同じ質問を複数のAIに投げてみる」が正解

どのAIが自分に合うかは、実際に使ってみないとわかりません。同じ質問をいくつかのAIに投げてみて「この答え方が好き」と感じたものが、あなたに合ったAIです。チャッピーと仲良くなってきた事務員さんなら、きっとすぐ新しいAIとも打ち解けられるはずでしょう。

まとめ:生成AIは「チーム」で使う時代へ

ChatGPT・Claude・Gamma・Gemini——それぞれが異なる個性と強みを持つ頼もしいパートナーたちです。「文章や思考の整理はClaude、資料作成はGamma、画像や動画はGemini、なんでもはChatGPT」のように目的で使い分けることで、仕事も日常もぐっと効率よくなります。

チャッピーひとりに頼り切らず、用途に合った最強のAIチームを作っていきましょう!

生成AI入門トピック第5回 生成AIには、ふだんの言葉で話しかけていい

生成AIを使うとき、こんなふうに思っていませんか?

「ちゃんとした指示を書かないといけない」
「プロンプトの書き方を覚えないと使えない」

前回、生成AIでよくある失敗をお話ししたことで、逆に身構えてしまった方もいるかもしれません。

ですが、生成AIはもっと気軽に使っていいんです。
今回は少し肩の力を抜いて、生成AIとの付き合い方を考えてみましょう。

これまでのシステムは「決まった入力」が必要だった

これまでのシステムでは、人間がシステムに合わせる必要がありました。
例えば、検索エンジンなら、知りたいことをキーワードに直します。

「生成AI 使い方 初心者」

こうした仕組みは、正確に処理するためには必要だったのですが、
使う側は「どこに、何を、どう入力するか」を考えなければなりませんでした。

生成AIは「人間の言葉」から始められる

生成AIがこれまでのシステムと違うところは、日常会話に近い言葉で使えることです。

たとえば、こんな言葉でも会話を始められます。

「この文章、ちょっと分かりにくい気がする」
「上司に送るメールなんだけど、失礼がないか見て」

きれいな命令文でなくても大丈夫です。
むしろ、ふだんの言葉で伝えることで、自分が何に困っているのか、何を気にしているのかが伝わりやすくなります。

「指示」ではなく「相談」から始めてもいい

「指示を出す」というのに慣れない方もいるかもしれません。
そんな方は、少し考え方を変えて、「相談」として話しかけてみましょう。

「この文章、少し冷たい印象になっていないか気になっています」
「相手に失礼がないようにしたいんだけど、この言い方で大丈夫かな」

整った文章である必要はありません。
人に相談するときも、最初からきれいにまとまっていることのほうが少ないですし、話しているうちに、自分が話したかったことが見えてくることもあります。

生成AIも、それに近い使い方ができます。

曖昧なまま話し始めても、やり取りしながら整えられる

一回で完璧な答えを出してもらう必要もありません。
会話しながら、少しずつ形にしていきましょう。

最初は曖昧でも大丈夫です。

「なんかこう、新しいアイデアが浮かんでるんだけど、ふわっとしてて言葉にできない」
「書きたい内容は決まってるけど、どう書いていいか分からない」

返ってきた答えを見て、

「もう少しやわらかくして」
「具体例を入れて」
「専門用語を減らして」

と続けて伝えれば、少しずつ自分の求める形に近づけられます。

まとめ

生成AIを使うために、最初から特別な言葉を覚える必要はありません。

「この文章、どう思う?」
「もう少しやさしく言い換えて」
「考えを整理するのを手伝って」

そんな一言で十分です。

まずは、ふだんの言葉で話しかけてみる。
そこから、生成AIとの距離は少しずつ縮まっていきます。

生成AI活用体験談第5回 AIの情報は古いことがある!飲み会の予算が足りなくなった体験談【AI情報の賞味期限】

「チャッピー、飲み会にぴったりのお店を探して〜!」と頼んだら、予算ぴったりのお店を見つけてくれた——はずが、当日お店に行ってみたら値上がりしていてお金が足りない!

生成AIの情報は、古い場合があります。お店の料金や制度など、変化しやすい情報は必ず最新情報を確認しましょう。リアルな失敗談とともに解説します。

① チャッピーに飲み会のお店探しをお願いした

「今度の飲み会、お店を探さなきゃ!」。そう思った事務員さんがチャッピーに相談すると、「おまかせください!」と頼もしい返事。飲み放題付きコース・お一人様3,000円(税込)のお店をすぐに見つけてくれました。

💬 チャッピーのおすすめ
○○居酒屋|飲み放題付きコース
お一人様 3,000円(税込)
※2024年の情報です

「安い〜!ここで決まり!計算もバッチリ♪」と喜んだ事務員さん。参加人数10人×3,000円=合計30,000円と予算メモに書き込んで、準備は万端のはずでした。

② そして当日…お店に到着!「値上がりしてまして…」

ところが、いざお店のスタッフに案内されてメニューを開いてみると——
「えっ!?お一人様4,000円になってる!?」
「はい、今年から値上がりしまして…」
10人分で一人1,000円の誤差。合計10,000円のオーバーです。「うそーっ!お金が足りない〜!どうしよう〜!!」と大パニックになってしまいました。

③ なぜこうなった?AIの「情報の賞味期限」問題

今回のトラブルの原因は、AIの持つ情報に「賞味期限」があるからです。
ChatGPTをはじめとする生成AIは、学習データの締め切り(カットオフ日)までの情報しか持っていません。その後に起きた値上げ・閉店・制度変更などは、AIには知るすべがないのです。

 AIが持つ情報の限界とは?

生成AIは「学習した時点」の情報をもとに回答します。飲食店の料金・営業時間・メニューはもちろん、法律・制度・商品の価格など、日々変化する情報はAIが把握していない可能性があります。チャッピーが「2024年の情報です」と小さく注記していたのは、まさにそのサインでした。

AIが苦手な「リアルタイム情報」とは

🚫 AIの情報をそのまま信頼しないほうがいい情報

•飲食店・ホテルの料金・営業時間・定休日
•交通機関の運賃・時刻表・路線変更
•法律・税率・補助金・助成金の制度内容
•商品の価格・在庫・発売状況
•企業情報(役員・所在地・サービス内容)
•イベント・展示会の開催情報

④ じゃあ、AIはお店探しに使えないの?

そんなことはありません!AIはお店探しの「最初の候補出し」に非常に便利です。大切なのは、AIの情報をスタート地点として使い、最終確認は必ず公式サイトや電話で行うという流れを守ることです。

✅ AIを使ったお店探しの正しい手順

•AIに条件(人数・予算・エリア・雰囲気)を伝えて候補を出してもらう
•気になったお店の公式サイト・食べログ・ぐるなびなどで最新料金を確認する
•予算に関わる場合はお店に直接電話して料金・空き状況を確認する
•予約時にもコース料金を口頭で確認してから確定する

「いつの情報か」を確認する習慣を持とう

チャッピーが「※2024年の情報です」と書いてくれていたように、AIは回答に情報の時期を添えてくれることがあります。この注記が出たときは要注意のサインです。「この情報は最新ですか?」とAI自身に聞いてみるのも有効です。

💡 AIに「情報の新しさ」を確認するプロンプト例

•「この情報は何年時点のものですか?」
•「最新情報を確認すべき点はありますか?」
•「料金が変わっている可能性はありますか?」

まとめ:AIは「道案内」、最終確認は自分で

飲み会の予算オーバーという痛い体験をした事務員さんとチャッピー。でもこれは、AIを賢く使うための大切な学びでもあります。

AIは膨大な情報の中から候補を素早く出してくれる、頼もしいパートナーです。ただし、料金・営業状況・制度など「今この瞬間」の情報については、必ず公式情報で裏付けをとる習慣を持ちましょう。AIを地図アプリのように使い、目的地の手前で自分の目で確かめる——そのひと手間が、思わぬトラブルを防いでくれます。

生成AI最前線第3回 続・最近話題のClaude Mythosとは? AIの成果と私たちが取るべき対応

先週取り上げた「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」。
この一週間で、さらに動きがありました。

前回は、Claude Mythosがソフトウェアの弱点を見つける力に優れていることを紹介しました。
今回は、その力がどれほどのものなのか、公式の発表をもとに、見ていきたいと思います。

※公式には「Claude Mythos Preview」と呼ばれていますが、この記事では分かりやすくClaude Mythosと呼びます。

1万件超の重大な脆弱性を発見

2026年5月22日、Anthropicは、Project Glasswingという取り組みの初期報告を公開しました。
それによると、世界中で使われている重要なソフトウェアから、1万件を超える深刻度「高」または「重大」の脆弱性を見つけたとされています。

脆弱性とは、ソフトウェアのセキュリティ上の問題のことです。
放置されると、不正アクセスや情報漏えい、サービス停止などにつながる可能性があります。

ここで問題なのは、1万件というのが多いのかどうかということですね。
基本的に、どのソフトウェアも公開前にテストが行われています。
本来、脆弱性はできるだけゼロに近づけて公開されるべきものです。

にもかかわらず、1万件を超える脆弱性が見つかりました。
Cloudflare 社では、重要システム全体で2,000件のバグが見つかり、そのうち400件が高または重大だったとされています。
このような事実からも、その能力の高さを推し量ることができるかと思います。

問題のトリアージが必要

とはいえ、実のところ、生成AIが見つけたものすべてが本物とは限りません。
文章作成と同じように、ハルシネーションを起こすことがあります。
そのため、人間の専門家が確認し、本当に危険なのか、修正が必要なのかを判断する必要があります。

ここで問題になるのが、スピードです。
AIは大量の弱点を見つけられるようになりました。
しかし、それを確認し、開発者に伝え、修正し、利用者にアップデートしてもらうには、人間の手間と時間がかかります。

つまり、「AIが弱点を見つけられるようになった」のはいいものの、「見つける速度に、直す速度が追いつくのか」という新しい問題が出てきているというわけです。

まとめ

Claude Mythosをめぐる最近の動きは、各国に大きな波紋を広げています。
日本やヨーロッパでも、金融機関や公的機関が影響を確認し、対応を進める動きが出ています。

また、ChatGPT を提供する OpenAI 社も、GPT-5.5-Cyber という生成AIを用意し、サイバー防御に関わる「Daybreak」というプロジェクトを立ち上げています。
つまり、サイバーセキュリティの分野でも、生成AI同士の覇権争いが始まりつつあるのです。

一方、これらの活動は、話が大きすぎて、ちょっと他人事のように感じてしまいます。
しかし、私たちも無関係ではありません。

生成AIがサイバー攻撃に使われた場合、これまで以上に、素早く広範囲に攻撃をしかけると予想されます。
そうなると、これまで標的にならなかった私たちの会社も攻撃に巻き込まれるリスクが増えます。

Claude Mythos の成果に基づき、今後、各ベンダー(ソフトウェアを作っている会社)からアップデートが提供される可能性があります。
ユーザーである私たちは、しっかりとそのアップデートを適用しておくことが、身を守る術となります。

一連のニュースを、「すごいAIが出た」という話題で終わらせるのはもったいないです。
しっかりとその意味を理解し、私たちにはどう影響するのかを考えて読み解いていくことが重要です。

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生成AI活用体験談第4回 体重バレた!?ChatGPTに個人情報を入力してはいけない理由と、正しい使い方

「チャッピー、私の情報を入力して相談してみよ〜!」——ダイエットのアドバイスをもらおうと、身長・体重・年齢をそのまま入力しようとしたところ、チャッピーから思わぬ警告が。

AIには個人を特定できる情報を入力しないようにしましょう。今回は、その理由と正しい使い方をやさしく解説します。

① ダイエット中の事務員さん、チャッピーに相談しようとした

「最近ダイエット中だし、アドバイスがほしいな」と思った事務員さん。身長158cm、体重62kg、年齢29歳…と、自分のリアルな情報をそのまま入力しようとしました。気持ちはよくわかります。具体的な情報を伝えた方が、より的確なアドバイスをもらえそうですよね。
ところがチャッピーから、思いがけない警告が届きました。

② 「ちょっと待って!個人情報は入力しないでね!」

チャッピーの返答はこうでした。「ちょっと待って!個人情報は入力しないでね!個人を特定できる情報は入力しないようにしましょう。AIに入力した情報は、学習やサービス改善に使われることもあるよ!」

⚠️ なぜAIに個人情報を入力してはいけないの?
ChatGPTなどのAIサービスでは、入力した内容がサービスの改善や学習データとして利用される場合があります。利用規約や設定によって異なりますが、意図せず個人情報が外部に渡るリスクを避けるためにも、実名・住所・電話番号などの個人を特定できる情報は入力しないことが基本です。

③ AIに入力してはいけない情報とは?

「個人情報」と一口に言っても、何が該当するのかわかりにくいですよね。個人情報以外にも入力してはいけないデータはたくさんあります。以下を参考に確認してみてください。

🚫 AIに入力してはいけない情報
1.個人情報
•氏名・住所・生年月日・電話番号・メールアドレス等

2.公的な識別番号
•マイナンバー・保険証番号・運転免許証番号・パスポート番号等

3.医療、生体情報、ライフスタイル
•健康状態・顔写真・指紋・服薬状況・プライベートな健康関連トピック等

4.子供に関する情報
•子供の名前・学校名・年齢の組み合わせ・画像・教育・家庭環境等

5.財務、金融情報
•未公開売り上げデータ・予算・利益・クレジットカード番号・銀行口座情報等

6.業務機密
•会社の機密情報・未公開の社内データ・お客様情報・取引先の情報等

7.ログイン認証情報
•パスワード・ログイン情報等

8.著作権に関わる内容(許可のないもの)
•書籍の文章・歌詞・セリフ・他人ブログ記事・研究発表等

④ では、どう入力すればいいの?「匿名化」のすすめ

個人情報を伏せつつ、AIから的確なアドバイスをもらう方法があります。それが「匿名化」です。具体的な数値や状況は伝えつつ、個人を特定できる情報だけを取り除くイメージです。

❌ 個人情報が含まれる入力
氏名:山田花子
身長:158cm
体重:62kg
年齢:29歳
食事:コンビニ多め
運動:たまに

✅ 匿名化した入力
身長:158cm程度
体重:やや多め
年齢:20代後半
食事:外食・コンビニ中心
運動:週1回未満
目標:健康的に体重を減らしたい

氏名を削除し、体重は「やや多め」、年齢は「20代後半」のようにぼかすだけで、個人を特定されるリスクを大きく下げられます。それでも、アドバイスの質はほとんど変わりません。

仕事でAIを使うときは特に注意

プライベートな相談以上に気をつけたいのが、業務での利用です。会議の議事録や報告書をAIにまとめてもらう際、お客様の名前・社名・金額・プロジェクト名などをそのまま入力していませんか?会社の機密情報や顧客情報は、必ず匿名化・仮名化してから使いましょう。

✅ 仕事でAIを安全に使う3つのルール
•お客様名・社名は「A社」「B様」などに置き換える
•具体的な金額・数値は「〇〇万円規模」などに丸める
•社内の機密案件は、AIに入力する前に社内ガイドラインを確認する
 (社内AI推進者に確認する)

まとめ:AIは賢いパートナー。でも「何を話すか」は自分で判断しよう

漫画の事務員さんは、チャッピーの警告を受けて情報を修正し、無事にアドバイスをもらうことができました。個人情報の扱いに気をつけることは、AIを安全に・長く使い続けるための大切なマナーです。


AIは便利なツールですが、何を入力するかの判断は、最終的に私たち人間がしなければなりません。「このまま入力していいかな?」と少し立ち止まる習慣が、自分と会社の情報を守ることにつながります。

生成AI入門トピック第4回 生成AIでよくある失敗と、うまく使うコツ

生成AIに初めて触れたとき。
多くの方は、お手本に習って指示を出したと思います。

でも、いざ自分で試してみるとうまくいかない。
そんな経験はありませんか?

実は、生成AIが「使えない」と感じる原因の多くは、
使い方ではなく「ちょっとしたコツ」にあります。

今回は、うまくいかないケースの代表例と、
その改善方法について、お話していきたいと思います。

ケース1:丸投げしてしまう

❌ 失敗例

新しいサービスのアイデアを考えたいです。

⇒思っていたのと違う方向性で話が進んでしまう

🤔 なぜ起きるのか

  • 情報が足りない

💡 改善

  • 箇条書きで条件を伝える

📝 例

新しいサービスのアイデアを考えたいです。

・目的:AIを使って中小企業の役に立つ
・条件:あまりお金をかけずに始められる

アイデアをいくつか出してください。

ケース2:1回で完璧を求める

❌ 失敗例

AI講座のキャッチコピーを考えてください。

⇒どの案もイマイチ、「使えない」と判断

🤔 なぜ起きるのか

  • 生成AIを「完成品生成機」と思っている

💡 改善

  • たたき台として使う。「もう少し○○にして」と修正する

📝 例

2番のキャッチコピーを、もう少し親しみやすい表現にしてください。

ケース3:そのまま使ってしまう

❌ 失敗例

添付の文字起こしファイルを元に議事録を作成してください。

⇒それっぽいものができたので、そのまま回覧。内容がおかしいと指摘される

🤔 なぜ起きるのか

  • 内容を確認せずそのまま使う
  • 生成AIの結果には、間違いが混ざることがある

💡 改善

  • 必ず一度読んで確認する
  • 分かりにくい表現や誤表記を、自分の言葉に手直しする

📝 例

出力された議事録を確認し、
・日時や参加者に誤りがないか
・発言内容が正しいか
をチェックして修正する

ケース4:使わなくなる

❌ 失敗例

  • とりあえず触ったけど、それで終わり

🤔 なぜ起きるのか

  • 使う目的がない
  • 使う必要のないところに無理して使っている

💡 改善

  • 小さな悩みから使う(文章・調べ物・比較など)
  • 他の人の使い方を真似する

📝 例

  • お礼メッセージの手直しに使う
  • 選択肢のメリット/デメリットを洗い出させる

まとめ

生成AIを使いこなすには、ちょっとした慣れが必要です。
人に指示を出すときにコツがあるように、
生成AIに指示を出すときにも、ちょっとしたコツがあります。

失敗することもありますが、「試す→直す」を繰り返すのが大事です。
試しながら、少しずつコツをつかんでいきましょう。

生成AI活用体験談第3回 「いい感じにまとめて」はNG!ChatGPTに伝わる指示の出し方【プロンプト入門】

上司に「いい感じにまとめて」と言われて困ったことはありませんか?
実は、AIへの頼み方も同じ。「いい感じに」と伝えただけでは、チャッピーも「え、えっと…」と困ってしまいます。

AIは、具体的に伝えるほど、より良い回答ができます。この記事では、すぐ使えるプロンプトのコツをやさしく解説します。

① 上司の「いい感じに」に途方に暮れた事務員さん

「上司に『いい感じにまとめて』って言われたけど、どうしたらいいの〜!?」——このセリフ、身に覚えがある方も多いのではないでしょうか。

「いい感じ」という言葉には、目的も、対象も、ボリュームも何も含まれていません。だからこそ困ってしまうのです。これはAIに対しても、まったく同じことが言えます。

② 「いい感じにまとめて〜!」とチャッピーにお願いしてみた

藁にもすがる思いでチャッピー(ChatGPT)に「いい感じにまとめて〜!」と入力した事務員さん。チャッピーの返答は——

💬 チャッピーの返答

「いい感じ」だけでは判断できません!目的・対象・トーン・文字数などを具体的に教えてください!

そう、AIは「いい感じ」という曖昧な指示だけでは動けません。これはAIが賢くないのではなく、AIが言葉通りに受け取る存在だからこそ起きることです。

③ 「シュッとして、ふわっとして、バシッとした感じ」でフリーズ!

「よし!では『シュッとして、ふわっとして、バシッとした感じ』でお願い!」と意気揚々と入力した事務員さん。しかし結果は——

🚨 エラー:意味を解釈できません
チャッピー、フリーズ———!!!

感覚的な言葉、擬音語、抽象的な形容詞はAIには伝わりません。「シュッとした」「ふわっとした」は人間同士なら通じても、AIには解釈のしようがないのです。

ChatGPTに伝わる「プロンプト」の4つのコツ

❌ 伝わりにくい指示
「いい感じにまとめて」
「シュッとした文章で」
「かっこいい感じに」
「ふわっと書いて」
✅ 伝わる指示
「300文字以内で箇条書きに」
「20代女性向けのやわらかい文体で」
「結論を最初に書いて」
「専門用語を使わずに」
  • コツ① 目的を伝える
    何のためにまとめるのかを最初に書きましょう。「社内共有用の報告書として」「SNS投稿用に」「お客様へのメール文として」など、用途が明確になるだけで出力の質がぐっと上がります。

  • コツ② 対象読者を伝える
    「誰が読むか」を伝えると、文体やレベル感が変わります。「AI初心者の事務員向けに」「経営者向けに」「小学生にもわかるように」など、読者像を一言添えるだけで効果的です。

  • コツ③ 文字数・フォーマットを指定する
    「300文字以内」「箇条書きで5点」「見出しをつけて」など、形式を具体的に指定しましょう。何も指定しないと、AIは自分で判断して出力するため、期待と違う形になることがあります。

  • コツ④ トーン・文体を言葉で説明する
    「ビジネスメール調で、丁寧だが硬すぎない表現で」
    「友人への連絡のようなカジュアルなトーンで」
    「簡潔でキレのある、広告コピー風の文体で」
    「です、ます調で格調ある文書で」
    など、感覚ではなく言語化できる言葉でトーンを伝えましょう。「シュッとした」ではなく「簡潔でテンポよい」と言えばOKです。

すぐ使える!プロンプトのテンプレート

📋 プロンプトの基本テンプレート
【目的】〇〇のために、
【対象】〇〇向けに、
【内容】以下の内容を
【形式】〇〇文字以内・箇条書きで
【トーン】〇〇な文体でまとめてください。

✅ 実際の入力例
•「社内共有用の報告書として、チームメンバー向けに、以下の会議メモを、箇条書き5点・300文字以内で、簡潔な文体でまとめてください。」
•「お客様へのお礼メールとして、40代のビジネスパーソン向けに、打ち合わせの御礼と次回日程の確認を、200文字程度・丁寧な文体で書いてください。」

まとめ:AIは「具体的に伝えるほど賢くなる

実際の最新AIは「フリーズ」はしません。漫画ではチャッピーがフリーズしてしまいましたが、実際のChatGPTなど最新のAIは、多少曖昧な指示でも「こういう意味でしょうか?」と確認したり、自分なりに解釈して何らかの回答を出そうとします。

ただし、曖昧なまま答えた結果、期待とはまったく違うアウトプットが返ってくることがあるのも事実。「とりあえず答えは出たけど、全然違う…」という体験を防ぐためにも、最初から具体的に伝える習慣をつけることが大切です。

AIはあなたの指示に誠実に応えようとしているからこそ、具体的な情報を必要としてます。AIに伝える言葉を磨くことは、思考を整理する練習にもなりますよ!

生成AI最前線第2回 最近話題のClaude Mythosとは? すごすぎる生成AIの現在

「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」という名前を聞いたことはあるでしょうか。
最近、生成AIの分野で話題になっている言葉です。

Claudeは、アメリカのAnthropicという会社が提供している生成AIです。
ChatGPTと同じように、文章を書いたり、質問に答えたり、プログラムを書いたりできます。

ただ、Claude Mythosが注目されているのは、単に「文章がうまい」「回答が賢い」という点だけではありません。
「ソフトウェアの脆弱性、つまり、セキュリティ上の問題を見つける力が非常に高い」とされている点です。

※公式には「Claude Mythos Preview」と呼ばれていますが、この記事では分かりやすくClaude Mythosと呼びます。

何がそんなにすごいのか

これまで生成AIは、「文章を書いてくれる」「プログラムの手伝いをしてくれる」ものとして見られてきました。

しかし、Claude Mythosで注目されているのは、その先です。
複雑なプログラムを読み解き、どこに弱点があるのかを探せるようになってきたのです。
条件によっては、人間より先に、AIが弱点を見つける場面も出てくるようになりました。

実際、Claude Mythosは、主要なOSやWebブラウザを含む重要なソフトウェアから、多くの深刻な弱点を見つけたと説明されています。
中には、27年近く見つかっていなかったものもありました。

何が問題なのか

一見すると、これは素晴らしいことに思えます。
AIが自動で弱点を探してくれるのですから、人間より早く、的確に、弱点に対応できるようになるはずです。

問題は、これが悪用された場合です。

もし、悪意を持った人の使うAIが先に弱点を見つけてしまった場合、どうなるでしょうか?
悪意を持っているわけですから、当然、その弱点を狙って攻撃してきます。

ですが、守る側がその弱点にまだ気づいていなければ、すぐに対策をとることは難しくなります。
攻撃を受けてから原因を調査し、初めてその弱点に気づく、ということも起こり得ます。

これでは遅いのです。

何をしたのか

そこでAnthropicは、Claude Mythosを誰でも使える形では公開せず、防御目的で活用できる限られた組織に提供する形を取りました。

この取り組みが「Project Glasswing(プロジェクト・グラスウィング)」です。
これには、AppleやGoogle、Microsoftなど、世界的なIT企業が名を連ねています。

特に金融分野では、各国で対応が進んでいます。
アメリカでは大手銀行がClaude Mythosへの対応を急いでおり、ヨーロッパでも銀行に備えを促す動きが出ています。
日本でも、メガバンクがClaude Mythosにアクセスできるようになる見込みだと報じられています。

まとめ

Claude Mythosの話題は、生成AIの機能が新たなステージに到達したことを意味しています。

これからの生成AIは、プログラムを作るだけではありません。
プログラムの弱点を探し、直し、防御に役立てるところまで広がっていくかもしれません。

ですが、便利になる一方で、悪用されたときの影響も大きくなります。
だからこそ、「すごいAIが出た」で終わらせるのではなく、そのAIが何に使われるのか、どのように管理されるのかにも目を向ける必要があります。