生成AI活用体験談第10回 ChatGPTの「なりきりプロンプト」が便利!AIでロールプレイを活用しよう! 

「優秀なコピーライターになりきってキャッチフレーズもつけてね!」とお願いしたら、チャッピーはサングラスをかけて「イケイケ〜!バリバリ考え中〜!」とノリノリに。さらに「社長になりきってダメ出しして!」と頼んだら——なんともユニークな展開に。

AIは言われた通り”なりきる”のが得意!この「なりきりプロンプト」、実はとても優秀な機能なんです。

① 「優秀なコピーライターになりきって」とお願いしてみた

「チャッピー、社内会議に提出する夏のドリンク企画を5案作って!優秀なコピーライターになりきってキャッチフレーズもつけてね」。事務員さんのお願いに、チャッピーは「まかせてください!」と即答。

💬 チャッピーが作成した企画案

夏のドリンク企画案(5案)
①「キミの夏に、シュワ革命。」
②「ゴクゴク、青春リフレッシュ!!」
③「ひんやり、恋する夏。」
④「のど越しで、気分アゲるよ!」
⑤「夏を、もっとおいしく。」

「さすが〜チャッピー!」と事務員さんも大満足。「コピーライターになりきって」という指示によって、キャッチーで勢いのあるフレーズが揃いました。これがなりきりプロンプト(ロールプレイ指示)の力です。

② なりきりプロンプトとは?——役割・立場・特性を自由に設定できる

なりきりプロンプトとは、AIに対して「役割」「立場」「特性」を指定し、その設定に基づいた視点・口調・専門知識で応答させる指示のことです。

社内の役職、専門職、お客様役、営業担当者、コールセンターのオペレーターなど、設定は自由自在です。

「コピーライターになりきって」のように、職業を指定するだけでなく、「新人のお客様対応に慣れていない営業担当として」「商品に不満を感じているお客様として」のように、経験レベルや感情・性格などの特性を組み合わせて設定することもできます。

🏢 社内の役職・立場
社長、経営層上司、部長、新入社員、他部署の担当者等

🎓 専門職
コンサルタント、デザイナー、イラストレーター、コピーライター、法律家、税理士等

🤝 対外対応・接客
営業担当コールセンターのオペレーター、お客様対応部門の社員、採用面接官、応募者等

※ここで挙げているのはあくまで一例です。役割・立場・特性は自由に組み合わせて設定できます。

③ AIロールプレイの強み

「社長になりきってダメ出しして」のような使い方だけでなく、近年は営業研修やコールセンターの教育現場でも、AIを相手にしたロールプレイが本格的に導入されています。背景にあるのは、AIロールプレイが持つ3つの強みです。

⚡効率性
相手役・評価役の確保が不要になり、研修にかかる時間やコストを大幅に削減できる

📏客観性
話すスピードや言葉選びなどを一定の基準で評価でき、担当者ごとのばらつきが出にくい

🔁反復性
時間や人手の制約なく、何度でも・さまざまなパターンで練習を繰り返せる

このように、なりきりプロンプトは個人のアイデア整理や事前チェックだけでなく、組織全体の営業力や顧客対応スキルの向上に貢献することが期待されているテクニックです。

④ 「社長になりきってダメ出しして!」——AIで精度をあげていく

この調子なら、と事務員さんは次にこう頼みました。「この会議は社長が出席するから、社長対策しておかなきゃ。社長になりきってダメ出ししてみて!」。チャッピーは「承知しました!」と元気に応答。

これは、「社長ならどこを突っ込みそうか」を本番前に洗い出す、実用的な使い方です。社長のチェックが入る会議だからこそ、「コストの根拠は?」「競合との違いは?」といった、社長の視点に立った想定質問やツッコミをあらかじめ準備できれば、当日の対応に大きな差が出ます。

翌日の会議——なぜかチャッピーは、見た目までどこか社長に似た姿(髪型までそっくり!)で登場し、本物の社長がジト目でじーっと見つめる……という、なんともシュールなオチに。

AIに「なりきって」と頼むと、視点や発言内容だけでなく、見た目やキャラクター性まで全力で再現しようとすることがある——という、AIらしいユーモアの一場面でした。

⑤ 広がる「AI社長」「AI役員」「AI秘書」

なりきりプロンプトの発想は、ニュースでもありますが、AIに役割を与える使い方だけでなく、企業が公式に設計・運用するAI人格としても広がっています。

🧑‍💼AI社長
企業理念や過去の発言を学習し、経営方針に関する質問に答える社内向けAI

📊AI役員
特定分野(財務・人事など)の視点で意思決定をサポートするAIアドバイザー

📅AI秘書
スケジュール調整・メール対応・情報整理などを担うパーソナルAIアシスタント

⑥ なりきりプロンプトのテンプレート例

では、なりきりプロンプトの例をご紹介します。

📋 なりきりプロンプトのテンプレート

【役割・立場・特性】〇〇になりきって(社内の役職/専門職/お客様役など)
【設定の補足】〇〇という状況・性格として
【対象】この〇〇(企画書・会話・文章など)について
【出力】〇〇してください(指摘する/会話する/提案するなど)

例:「社長になりきって、この企画書を確認してください。特にコストの根拠とスケジュールの妥当性の観点で、質問されそうなことを3つ挙げてください。」

例:「新規導入を検討しているお客様役として、当社の提案に対して質問してください。少し懐疑的な反応でお願いします。」

✅ なりきりプロンプトのポイント

•役割・立場・特性は自由に設定でき、組み合わせも可能
•事前チェック・アイデア出しになど、業務に応用できる
•効率性・客観性・反復性が高く、繰り返しのトレーニングに向いている

まとめ:なりきりプロンプトは「視点と練習相手」を増やす優秀な機能

チャッピーが社長そっくりの姿で登場したのは、思わず笑ってしまうオチですが、「社長になりきってダメ出しして」「コピーライターになりきって」という発想そのものは、とても優秀なプロンプトテクニックです!

役割・立場・特性を自由に設定できることから、事前チェックはもちろん、営業やコールセンターの研修など、組織全体のスキル向上にも活用が広がっています。

AIが多少演出を効かせてきても、それも込みで楽しみながら、チャッピーとの「なりきりプロンプト」をぜひ活用してみてください!

生成AI入門トピック第7回 AIのオススメを断れない! 提案に流されないための小さなコツ

生成AIを使っていると、回答の最後に「次は○○できます」「○○に進みましょうか?」と提案されることがあります。

親切で便利な機能ですが、慣れないうちは、その提案に流されてしまうこともあります。
気づいたら、最初にやりたかったことからだいぶ離れている……。
そんな経験はないでしょうか?

今回は、そんなときに目的を見失わないための考え方とコツをご紹介します。

生成AIはよく「次の一手」を提案してくれる

生成AIは、こちらの依頼に答えたあと、次にできることを提案してくれることがあります。

「この内容をもとに本文を書けます」
「表に整理できます」
「タイトル案も作れます」

こうした提案は便利です。
自分では思いつかなかった進め方に気づけることもあります。

オススメには従わなくてもいい

そうやってオススメされると、つい「それもやった方がいいのかな」と思ってしまうことがあります。
まだ慣れていない作業だと、特に流されやすいでしょう。

しかし、生成AIの提案は命令ではありません。
あくまでも選択肢です。

最初の目的が「メールを短く整えること」だったなら、タイトル案や企画書化まで進める必要はありません。

迷ったら「何がしたかったんだっけ?」に戻る

オススメに乗るか迷ったら、いったん最初の目的に戻ります。

「今、自分は何をしたかったのか」
「このオススメは、目的に役立つのか」
「今やる必要があるのか」

この3つを考えるだけでも、流されにくくなります。
ここが今日一番のポイントです。

断る言葉を用意しておく

もし、生成AIに人間味を感じて申し訳ない気持ちになるなら、断りの言葉を考えておくのも手です。

例えば、こんなふうに伝えられます。

「ありがとう。今は大丈夫です」
「いったん最初の目的に戻っていいですか?」
「その前に○○について考えてもいいですか?」

断るというより、進む方向を自分で決める感覚です。
生成AIに任せきりにするのではなく、自分の目的に合わせて使うことが大切です。

まとめ

生成AIのオススメは、とても便利です。
ただし、すべてに従う必要はありません。

オススメに乗ってもいい。
断ってもいい。
途中で戻ってもいい。

迷ったら、「何がしたかったんだっけ?」と一度立ち止まる。
必要なければ、「今はそこまでしなくて大丈夫」と伝える。

それだけで、オススメに流されず、自分のペースで使いやすくなります!

生成AI活用体験談第9回 ChatGPTに長い相談をするなら「最後まで聞いてから答えて」と最初に伝えるだけで変わる!

「3回に分けて状況を説明するので、全部聞いてから回答してください」——たったこの一言を最初に添えるだけで、ChatGPTとのやりとりがぐっとスムーズになります。長い相談は、「最後まで聞いてから回答してください」と最初に伝えるとスムーズです!

① 「3回に分けて説明するので、全部聞いてから!」

複雑なクレーム対応について相談したい事務員さん。
状況が複雑なので、「3回に分けて説明するので、全部聞いてから回答してください」と最初にひとこと伝えました。

するとチャッピーも「わかりました!全部聞いてから回答しますね。どうぞ!」とフリフリしながら待機モードに。
この「最初の一言」が、今回のポイントです。

② 状況を3回に分けて説明した

💬 実際のやりとり再現

事務員さん:3回に分けて状況を説明するので、全部聞いてから回答してください。

チャッピー:わかりました!全部聞いてから回答しますね。どうぞ!

①事務員さん:お客様から商品の不具合でクレームが来ました。続きます。
チャッピー:続きをどうぞ!

②事務員さん:上司はすでに謝罪済みですが、お客様がまだ納得していません。続きます。
チャッピー:続きをどうぞ!

③事務員さん:私が改めてお詫びメールを送ることになりました。どんな内容にすればいいですか?以上です。
チャッピー:全部聞きました!回答しますね!!(ブンブンブン♪)

③ なぜ「最初の一言」がそんなに大事なの?

ChatGPTは、メッセージを受け取るたびに「これが完結した依頼だ」と判断して回答しようとします。
つまり何も言わずに「①お客様からクレームが来ました」と送ると、その時点で「では謝罪メールを書きましょう」と回答してしまうのです。

❌ 一言なしで送ると

「①クレームが来ました」
 ↓ AIが途中で回答
「では謝罪しましょう」

「②上司が謝罪済みです」
 ↓ またAIが回答
「それは大変でしたね」

全体像を把握できないまま
バラバラな回答になってしまう
✅ 最初に一言添えると

「3回に分けます。全部聞いてから回答を」
 ↓ AIが待機モードに
「①クレームが来ました」→「続きをどうぞ」
「②上司が謝罪済みです」→「続きをどうぞ」
「③メールを送ります。以上」
 ↓
全体像を把握したうえで
的確な回答が得られる!

⚠️ 途中で回答されてしまうと何が困る?

状況の一部しか知らないまま回答されると、的外れなアドバイスになりやすいです。

今回のケースでは「上司がすでに謝罪済みで、お客様がまだ納得していない」という重要な前提を知らないまま「まずは謝罪しましょう」と言われても困ります。

複雑な状況ほど、全体を伝えてから回答をもらう方が圧倒的に精度が上がります。

④ この技が役立つ場面はこんなにある

📋 「全部聞いてから」が効果的なシーン

・クレーム対応経緯・対応状況・現状を順番に伝えてから、対応策や文章を依頼する
・企画・提案作成背景・目的・制約条件を分けて説明してから、企画書の構成を依頼する
・人間関係の相談状況・相手の立場・自分の気持ちをすべて話してから、アドバイスをもらう
・業務フローの整理現状の手順を複数に分けて説明してから、改善案を依頼する
・長文の添削依頼文章を複数のブロックに分けて貼り付けてから、まとめての添削を依頼する

⑤ すぐ使える!「全部聞いてから」の伝え方フレーズ集

状況に応じて、最初のメッセージにこれらのフレーズを添えるだけです。

📋 そのまま使えるフレーズ

【回数を伝える場合】
「〇回に分けて状況を説明するので、全部聞いてから回答してください。」

【長文を分割する場合】
「長いので複数に分けて送ります。「以上です」と送ったら回答してください。」

【条件を整理してから頼む場合】
「背景・状況・依頼内容の順に説明します。最後まで聞いてからアドバイスをください。」

【シンプルに伝える場合】
「まとめて説明するので、途中で回答せず最後まで聞いてください。」

「以上です」の一言で、AIに完了を知らせよう

分割して送る場合、最後のメッセージに必ず「以上です」「ここまでです」と添えましょう。

これがAIにとっての「説明終了のサイン」になります。漫画でも事務員さんが「以上です。」と締めたとたん、チャッピーが「全部聞きました!回答しますね!!」とブンブン喜んでいましたね。

✅ 分割送信のベストプラクティス

•最初のメッセージで「〇回に分けます・最後まで聞いてから」と宣言する

•各メッセージの末尾に「続きます」を添えると、AIが待機しやすくなる

•最後のメッセージで「以上です」と明示して完了を知らせる

•最後に質問・依頼内容を明確に書くと、回答の精度がさらに上がる

まとめ:たった一言の「予告」がAIを最強の相談相手にする

「3回に分けて説明するので、全部聞いてから回答してください」——このひとことを最初に添えるだけで、チャッピーは辛抱強く全体像を把握してから、的確な回答を出してくれます。

複雑な状況をAIに相談するとき、バラバラな回答に困った経験がある方はぜひ試してみてください。チャッピーとのやりとりが、ぐっとスムーズで頼もしいものになるはずです!

生成AI最前線第5回 AI動画に「印」がつく時代へ 本物とフェイクをどう見分けるか

ニュースで見かけた政治家の発言
SNSで流れてきた事件の映像

それらが本物かどうか、皆さんは自信を持って言えるでしょうか。

最近は、有名人になりすました投資詐欺の広告や、本人そっくりの声で家族を装う電話なども出てきています。
「見れば分かる」が通用しにくい時代になりつつあるのです。

YouTubeがAI動画にラベルをつけ始めた

YouTubeは2026年5月から、AIで作られた、または大きく加工された動画に対して、分かりやすいラベルを表示する取り組みを強化しています。

これまでは、投稿者が「AIを使いました」と自己申告することが中心でした。
しかし今後は、投稿者の申告がなくても、YouTube側のシステムが本物そっくりのAI動画を検知した場合、自動でラベルをつけることがあります。

長い動画では動画の下に、ショート動画では映像に重ねる形で表示されます。
フェイク動画が増えている中で、これは私たち見る側を守るための一歩と言えます。

本物を見分ける仕組みも進んでいる

こうした取り組みは、YouTubeだけではありません。
いま世界では、画像や動画に「どのように作られたのか」という履歴を残す仕組みづくりも進んでいます。

誰が、いつ、どんなツールで作ったのか。
どのように編集されたのか。
そうした情報を、後から確認できるようにする仕組みです。

また、グーグルはSynthIDという電子透かし技術を使い、AIで作られた画像や動画、音声に、目に見えない印を入れています。

本物と偽物を見分けるための仕組みが、少しずつ整えられているのです。

それでも「AI印」は万能ではない

ただし、AIラベルや電子透かしがあれば安心、というわけではありません。

画像や動画を強く加工したり、別のAIで作り直したりすれば、検知をすり抜けるものも出てきます。
フェイクを作る側と、見分ける側のいたちごっこは続いていきます。

また、ラベルがあることで、かえって中身をよく見ずに判断してしまう可能性もあります。
「AI生成」と書いてあるから疑う。
ラベルがないから本物だと思い込む。
そうした単純な受け止め方も危険です。

さらに、ディープフェイクが広がると、本物の映像まで「どうせAIだろう」と疑われることがあります。
偽物を疑う姿勢が身につく一方で、本物かどうか信じるのが難しくなってしまうのです。

日本ではどうなっているのか

日本でも、ディープフェイクやAI生成コンテンツの悪用は問題になっています。

ただ、現時点では、こういった悪用を直接まとめて規制する法律が整っているとは言えません。
内容によっては、詐欺、名誉毀損、著作権侵害、肖像権やプライバシーの侵害など、既存の法律で対応することになります。

今後、日本でもAIで作られたコンテンツをどのように表示し、どう扱うのかが大きなテーマになっていくはずです。

まとめ

AIラベルは、本物かどうかを考えるきっかけになります。
ただし、「ラベルがあるから安心、ないから本物」とは言い切れません。

発信元はどこか。
他の情報源でも確認できるか。

生成AI時代には、見た目だけで判断せず、少し立ち止まって確かめる姿勢が大切です。

AI経営整理プログラム「ミニ講座」ー7月開催のご案内

大変ご好評をいただいております「経営者・経営層の方を対象とした」AI経営整理プログラムのオンライン“ミニ”講座の7月開催が決定しました!

今回は、みなさまが出席しやすい金曜日の夕方、土曜日の午前の開催もございます!

AIの使い方を学ぶのではなく、「経営にどう活かすか」を整理するための、1時間完結のミニ講座です。定員は各回5名と少人数制のため、ご関心のある方はお早めにご予約ください!

生成AI活用体験談第8回 「親しみやすく」と頼んだら大阪弁のビジネスメールが届いた!AIへのトーン指定は具体的に

「チャッピー、大阪のお客様に親しみやすい感じでメールを作って!」——どやっと仕上がってきたのは、「おおきにでっせ〜!めっちゃ楽しみにしてまっせ!!」という、関西弁全開の返信メール。

“親しみやすい”の解釈はAIによって違うかも!トーンや雰囲気は具体的に伝えましょう。

① 大阪のお得意先から来訪の連絡が!

「わぁ!大阪のお得意先さんが来てくれるんだ!楽しみですね!」。受信トレイに届いた丁寧なメール——「いつもお世話になっております。大阪支社のOOです。ぜひ一度、御社へご挨拶に伺いたいです。都合はいかがでしょうか。」

温かみのある返信を送りたい。そこで事務員さんはチャッピーに依頼することにしました。

② 「親しみやすい感じで」とお願いしたら…

「チャッピー、親しみやすい感じで、”ぜひ来てください!”って返信メールを作って!」
「おまかせください!!」——どやっと仕上がってきたのがこちらです。

返信メール(作成中) 宛先:〇〇様
❌ チャッピーが作ったメール

〇〇様

おおきにでっせ〜!
ぜひぜひ来たってくださいな!
社員一同、めっちゃ楽しみにしてまっせ!!
当日は気いつけてお越しくださいな😊
何かあったら、なんでも言うてくださいな!
ほな当日よろしゅう頼みますわ〜!!
待ってま〜す♪

株式会社△△ 営業部一同

📝 親しみやすさMAXです!!

「なんでやねん!コテコテやないかい!」——事務員さんの突っ込みももっともです。「わはは〜」「ほな、さいなら〜」とチャッピーは満足げですが、これはビジネスメールとして送れません。

③ なぜこうなった?「親しみやすい」は曖昧なワード

チャッピーは悪くありません。「親しみやすい」という言葉を、AIなりに誠実に解釈した結果がこれです。AIには「ビジネス上の適切な距離感」「日本のビジネスマナー」「相手との関係性」といった暗黙の前提が伝わっていなかったのです。

⚠️ AIに「感覚的な言葉」だけで頼むと起きること

「親しみやすい」「やわらかく」「フレンドリーに」などの感覚的な言葉は、人によって・AIによって解釈が大きく異なります。第3話の「シュッとして、ふわっとして」と同じ問題です。AIは指示された言葉を文字通りに最大化しようとするため、想像を超えた結果になることがあります。

④ トーン指定は「感覚語」を「具体語」に変えよう

「親しみやすい」という言葉を使いたいなら、それがどんな状態なのかを言語化して添えることが大切です。

「親しみやすく」
❌ これだけでは伝わらない
✅ 「丁寧語を使いつつ、堅苦しくなりすぎない温かみのある文体で」

「やわらかく」
❌ これだけでは伝わらない
✅ 「敬語は保ちながら、句読点を多めに使ってテンポよく」

「フレンドリーに」
❌ これだけでは伝わらない
✅ 「ビジネスメールの礼儀は守りつつ、歓迎の気持ちが伝わるように」

「明るく元気に」
❌ これだけでは伝わらない
✅ 「感嘆符は使わず、前向きな言葉を選んで簡潔に」

正しい指示で作り直してみよう

トーンを具体的に伝え直すと、このような仕上がりになります。

修正後の指示
「〇〇様への返信メールを書いてください。
・ビジネスメールの礼儀は守る(敬語・です・ます調)
・来訪を心から歓迎する気持ちが伝わるように
・堅苦しくなりすぎず、温かみのある文体で
・方言や感嘆符は使わない
・200文字程度」

修正後のメール 宛先:〇〇様
✅ 適切なビジネスメール
〇〇様

ご連絡いただきありがとうございます。
ぜひご来社ください。社員一同、心よりお待ちしております。
ご都合に合わせて日程を調整いたしますので、お気軽にお申し付けください。
当日お会いできることを楽しみにしております。

株式会社△△ 営業部

⑤ すぐ使える!ビジネスメールのトーン指定テンプレート

メール作成プロンプトのテンプレート

【宛先・関係性】
 〇〇様(取引先/初対面/長年のお付き合いなど)への返信メール

【目的】〇〇をお伝えする(来訪歓迎/お礼/日程調整など)

【文体】敬語・です・ます調、〇〇な雰囲気(堅すぎず柔らかすぎない など)

【禁止事項】方言・感嘆符・絵文字は使わない

【文字数】〇〇文字程度

✅ トーン指定で使える具体的な言葉リスト

•「丁寧語は保ちながら、読みやすいテンポで」
•「歓迎・感謝の気持ちが自然に伝わるように」
•「形式的になりすぎず、人間味のある表現で」
•「簡潔に、でも冷たくならないように」
•「文末表現を単調にせず、少しバリエーションをつけて」

まとめ:AIへの「感覚語」は必ず「具体語」とセットで

「親しみやすさMAXです!!」と誇らしげなチャッピーを責めることはできません。指示通りに、全力で応えてくれたのですから。ただ、その「全力」が私たちの想像と違う方向に向かってしまうことがある——それがAIの面白さでもあり、使いこなすポイントでもあります。

「親しみやすい」「やわらかく」「フレンドリーに」と伝えるときは、必ずその言葉の中身を一緒に説明しましょう。言葉を丁寧に言語化する習慣が、チャッピーとのやりとりをぐっと上質にしてくれます!

生成AI入門トピック第6回 生成AIにどう頼めばいいか分からないときは

前回は、生成AIにはふだんの言葉で話しかけていい、というお話をしました。

でも、いざ使おうとすると、こんなふうに感じることがあります。

「何をどう頼めばいいのか分からない」
「イメージをどう伝えればいいか分からない」
「頭の中にはあるけれど、うまく言葉にできない」

実は、生成AIを使うときに大切なのは、プロンプトの書き方だけではありません。
自分が何に困っているのか、何をしてほしいのかを、具体的な言葉にしていくこともとても大切です。

今回は、生成AIにうまく頼めないときの考え方についてお話しします。

うまく使えない原因は、指示の前にあることもある

生成AIが期待どおりに答えてくれないとき、つい「プロンプトが悪かったのかな」と考えてしまいます。

もちろん、指示の出し方は大切です。
ただ、その前に、自分の中で頼みたいことがまだ曖昧な場合もあります。

たとえば、

「文章を作ってほしい」のか
「文章を直してほしい」のか
「考えを整理してほしい」のか
「アイデアを出してほしい」のか
「判断材料がほしい」のか

これだけでも、頼み方は変わります。

期待と違う答えが返ってきたとき、
それは生成AIが使えないのではなく、
こちらの目的がまだ十分に伝わっていないのかもしれません。

とにかくまず言葉にすること

生成AIに慣れないうちは、何とか言葉を整えようとしがちです。

「○○を使って、○○をしたいけど、どうすればいいか考えて」

ここまで書けるなら上出来ですが、案外難しいものです。

実際には、次のようなレベルになることが多いです。

「○○したい」

最低限、これだけでも会話は始められます。
まずは、「自分が何をしたいのか」を伝えるだけで大丈夫です。

「メールを書きたい」
「議事録を作りたい」
「相談に乗って」

これだけでも、生成AIは会話のきっかけを作ってくれます。

さらに一言添える

とはいえ、先ほどの一言だけだと、生成AIの回答が意図しないものになりがちです。
そこで、文章の最後にこの言葉を添えてみてください。

「不明点は私に質問して」

たったこれだけです。

「メールを書きたい。不明点は私に質問して」
「議事録を作りたい。不明点は私に質問して」
「相談に乗って。不明点は私に質問して」

すると、生成AIのほうからあなたに質問してくれるようになります。
あとは、ひとつずつあなたの考えや気持ちを伝えて、少しずつ形にしていけばOKです。

まとめ

生成AIをうまく使う第一歩は、完璧なプロンプトを書くことではありません。

自分が何に困っているのか。
何をしてほしいのか。

そうしたことを、少しずつ言葉にしていくことです。

うまく言葉にできないときは、そのこと自体を伝えても構いません。

「うまく説明できないので、質問してください」

この一言からでも、生成AIとのやり取りは始められます。

まずは、今の考えを言葉にしてみる。
これができるようになれば、生成AIは一段とスムーズに使えるようになります。

生成AI活用体験談第7回 ChatGPTが迷子になる!?同じチャットに話題を入れすぎるとAIが混乱する理由と正しい使い方

「昨日お願いした企画書、バッチリだったのに——翌日別の案件を同じチャットで頼んだら、なんかヘンな提案が出てきた!」
実はこれ、AIの「記憶の引っ張られ」が原因です。チャットは話題ごとにわけるか分岐させましょう!同じチャットに入れすぎると、AIも迷子になっちゃうよ〜!

① 20代女性向け企画書、完璧に仕上がった!

「ターゲットは20代女性、かわいくポップな企画書を作って♪」とチャッピーにお願いしたら、「おまかせください!パッチリ仕上げました〜!」と、コンセプト・ターゲット・キーワードが揃った完璧な企画書が完成。「さすが!!」と大喜びの事務員さん。

② 翌日、同じチャットで別の企画書を依頼した

翌日、今度は「50代男性向けの企画書をお願い!どっしり信頼感のある感じで♪」と、昨日と同じチャットに続けて入力しました。チャッピーの返答は「今日のご用はなんでしょうか?」。一見普通に見えたのですが……。

📅 昨日の会話

ターゲットは20代女性、かわいくポップな企画書を作って♪

かしこまりました!かわいくポップに作成しました♪


📅 翌日(同じチャットに続けて入力)

50代男性向けの企画書をお願い!どっしり信頼感のある感じで♪

かしこまりました…(20代女性…かわいい…ポップ…/50代男性…信頼感…どっしり…)どっちを作れば…!?

⚠️ AIが昨日の文脈を引っ張ってしまい、ターゲットやトーンが混在した企画書を生成してしまう可能性があります

③ なぜAIは「記憶に引っ張られる」のか?

ChatGPTなどの生成AIは、同じチャット内の会話履歴をすべて「文脈(コンテキスト)」として参照しながら回答を生成します。つまり、ひとつのチャットに複数の話題が混在していると、AIは過去のやりとりを引きずりながら返答してしまうのです。

漫画の結末がまさにそれ。「これはアナタだけの特別プランよ♡」とテレビショッピングのような謎の提案が出てきてしまったのは、20代女性向けのポップさと50代男性向けの信頼感が混ざり合った結果です。チャッピー、大丈夫……?

 AIの「コンテキスト汚染」とは?
同じチャットに異なる目的・ターゲット・トーンの依頼が混在すると、AIが過去の文脈を引きずって回答の精度が下がる現象です。特に「方向性が正反対の案件」を続けて頼む場合に起きやすく、出力がちぐはぐになる原因になります。

💡 補足:人間の「記憶のひっぱられ」とAIの決定的な違い

人間は「勘違い」や「思い出せない」ことで記憶が引っ張られますが、AIの場合は「確率計算の偏り」によって引っ張られます。AIには「これは絶対に正しい事実だ」という確信(意識)がないため、統計的にボリュームが多いデータや、直近で入力された強いキーワードにどうしても出力が引きずられてしまうという特性があります。

④ こんなときにAIは迷子になりやすい

🚫 同じチャットに混ぜてはいけない組み合わせ

• ターゲットが異なる複数の企画書・提案書
• トーンが真逆の文章(やわらかい/硬い、ポップ/シリアスなど)
• まったく関係のない複数のプロジェクトの作業
• プライベートな相談と仕事の依頼の混在
• 長期間にわたって使い続けたチャット(履歴が長くなりすぎたもの)

⑤ 正しい使い方:チャットは「話題ごと」に分ける

解決策はシンプルです。案件・プロジェクト・話題が変わったら、新しいチャットを始める——それだけで、AIは余計な文脈を引きずらず、クリーンな状態で回答してくれます。

❌ やりがちなNG例
【同じチャットに続けて入力】
昨日:20代女性向け企画書
今日:50代男性向け企画書

AIがターゲット・トーンを混同してしまう
✅ 正しい使い方
【チャットを分ける】
チャットA:20代女性向け企画書
チャットB:50代男性向け企画書

それぞれが独立した文脈で
精度の高い回答が得られる

チャットを上手に管理する4つのルール

01 案件ごとに新しいチャットを開く
プロジェクトや依頼の種類が変わったらリセット。「新しいチャット」ボタンを気軽に使おう

02 チャット名をつけて管理する
「20代向け企画書」「50代向け企画書」などタイトルをつけると見つけやすく混同も防げる

03 最初に前提条件を毎回伝える
新しいチャットを開いたら「今回のターゲットは〇〇、目的は〇〇です」と最初に宣言する

04 長くなりすぎたチャットはリセット
同じ案件でもやりとりが長くなると文脈が複雑に。節目で新チャットに切り替えるのも有効

新しいチャットを始めるのは「もったいない」ことじゃない

「また最初から説明するのが面倒」と感じて同じチャットを使い続けてしまう方も多いですが、実はその方が出力の質が下がって非効率です。最初の前提条件をテンプレートとして手元に控えておけば、新チャットでもすぐに再開できます。

✅ 前提条件テンプレートの例

ここからは、これまでの相談とは別件です。
前回までの内容・ターゲット・文体・雰囲気は、今回の回答には引き継がないでください。

今回の目的:
(例:50代男性向けの企画書を作成したい)

ターゲット:
(例:50代男性、経営者、管理職、既存顧客など)

使う場面:
(例:社内会議、営業提案、ブログ記事、チラシ、メールなど)

希望する雰囲気:
(例:落ち着いた、信頼感がある、ビジネス向け、やさしい、親しみやすいなど)

入れてほしい内容:




避けてほしい内容:



出力形式:
(例:見出し付きの本文、箇条書き、メール文、表形式、チラシ原稿など)

上記の条件だけを前提にして、回答してください。


入力例

【前提条件テンプレート】

ここからは、これまでの相談とは別件です。
前回までの内容・ターゲット・文体・雰囲気は、今回の回答には引き継がないでください。

今回の目的:
50代男性向けの健康食品の企画書を作成したい

ターゲット:
50代男性、会社員、健康診断の数値が気になり始めた層

使う場面:
社内の商品企画会議

希望する雰囲気:
落ち着いた、信頼感がある、専門的すぎず分かりやすい

入れてほしい内容:
・商品コンセプト
・ターゲットの悩み
・訴求ポイント
・販売方法の案

避けてほしい内容:
・かわいすぎる表現
・若者向けの軽い言葉づかい
・医学的に断定する表現

出力形式:
企画書のたたき台として、見出し付きで整理してください。

上記の条件だけを前提にして、回答してください。

まとめ:AIも「文脈の整理」が大好き

チャッピーが混乱してしまったのは、チャッピーのせいではありません。人間でも「昨日と全然違う方向の仕事を突然頼まれたら戸惑う」のと同じです。

AIは優秀な相棒ですが、何を前提に考えを決めるかは私たちです。チャット、文脈を上手に整理することで、生成AIとのやりとりの質がぐっとあがりますよ!

生成AI最前線第4回 生成AIの便利さの裏側にあるもの データセンターと電力の現実

生成AIの登場によって、私たちの生活や仕事は少しずつ変わってきました。
文章を書くのは楽になりましたし、調べ物も手早くできるようになりました。

ですが、その裏側でも大きな変化が起きています。
それが、データセンターの電力需要です。

生成AIの裏側にはデータセンターがある

生成AIは、私たちのスマホやパソコンの中だけで動いているわけではありません。
質問を送ると、その情報はデータセンターと呼ばれる大きな施設に送られ、そこで処理されます。

データセンターには、多数のサーバーが並んでいます。
これらを使って生成AIの答えを生成するのですが、その際、大量の計算が行われています。

そして、大量の計算には大量の電気が必要です。
また、大量の電気を使って計算すると、大量の熱も発生します。
サーバーは熱に弱いので、発生した熱を冷却するための設備が必要です。
この冷却にも、少なくない電力が使われます。

そのため、大規模なデータセンターでは非常に大きな電力が必要になります。
国際エネルギー機関は、2024年の世界のデータセンターの電力消費を、世界全体の電力消費の約1.5%と推計しています。
割合だけ見ると小さく見えるかもしれません。
しかし、データセンターは特定の地域に集中しやすいため、その地域の電力網には大きな負担になることがあります。

データセンターに圧迫されるアメリカの電力事情

特にアメリカでは、AI向けデータセンターの建設が急速に進んでいます。
その結果、電力をどう確保するのか、送電網をどう整備するのか、電気料金に影響しないのか、といった問題が出てきています。

実際、アメリカではデータセンター建設に対する反対運動も起きています。
ニュージャージー州ミルビル市では、電力や水の消費、公共料金への影響、騒音などへの懸念から、大規模データセンターの新規建設を禁止する決定が出されました。

また、環境問題も浮き彫りになってきています。
たとえばMicrosoftは、AIやクラウドの拡大などを背景に、2020年と比べて温室効果ガス排出量が23.4%増えたと公表しています。
報道では、AIデータセンターの拡大によって、2030年のクリーンエネルギー目標を見直す可能性も指摘されています。

生成AIを支える施設は、便利な技術の裏側にある一方で、地域の暮らしにも影響を与える存在になりつつあります。

日本にもいずれ、データセンターの電力問題は訪れる

日本ではどうでしょうか?

実は日本でも、データセンターの整備は進んでいます。
千葉県の印西・白井エリアでは、約250MW規模の大規模データセンターキャンパス計画が発表されています。
また北海道苫小牧市でも、日本最大級のAIデータセンターが2026年度に開業予定です。
アメリカほど大きな問題になっているわけではありませんが、日本でも無関係な話ではありません。

もちろん、アメリカと同じ問題がすぐに起きると決まったわけではありません。
ただ、国内でAIを活用する動きがさらに広がれば、それを支える設備も必要になります。
日本でも、早めに考えておきたいテーマです。

まとめ

生成AIは、とても便利な道具です。
一方で、それを実現するために、大きなコストがかかっているのも事実です。

今回は電力を取り上げましたが、ほかにもサーバーの部品に使われるレアメタルの問題などもあります。
便利さが強調される一方で、解決していかなければならない課題も存在するということです。

これからAIがさらに広がっていく中で、便利さだけでなく、私たちの暮らしへの影響にも目を向けていきたいところです。