生成AI最前線第2回 最近話題のClaude Mythosとは? すごすぎる生成AIの現在

「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」という名前を聞いたことはあるでしょうか。
最近、生成AIの分野で話題になっている言葉です。

Claudeは、アメリカのAnthropicという会社が提供している生成AIです。
ChatGPTと同じように、文章を書いたり、質問に答えたり、プログラムを書いたりできます。

ただ、Claude Mythosが注目されているのは、単に「文章がうまい」「回答が賢い」という点だけではありません。
「ソフトウェアの脆弱性、つまり、セキュリティ上の問題を見つける力が非常に高い」とされている点です。

※公式には「Claude Mythos Preview」と呼ばれていますが、この記事では分かりやすくClaude Mythosと呼びます。

何がそんなにすごいのか

これまで生成AIは、「文章を書いてくれる」「プログラムの手伝いをしてくれる」ものとして見られてきました。

しかし、Claude Mythosで注目されているのは、その先です。
複雑なプログラムを読み解き、どこに弱点があるのかを探せるようになってきたのです。
条件によっては、人間より先に、AIが弱点を見つける場面も出てくるようになりました。

実際、Claude Mythosは、主要なOSやWebブラウザを含む重要なソフトウェアから、多くの深刻な弱点を見つけたと説明されています。
中には、27年近く見つかっていなかったものもありました。

何が問題なのか

一見すると、これは素晴らしいことに思えます。
AIが自動で弱点を探してくれるのですから、人間より早く、的確に、弱点に対応できるようになるはずです。

問題は、これが悪用された場合です。

もし、悪意を持った人の使うAIが先に弱点を見つけてしまった場合、どうなるでしょうか?
悪意を持っているわけですから、当然、その弱点を狙って攻撃してきます。

ですが、守る側がその弱点にまだ気づいていなければ、すぐに対策をとることは難しくなります。
攻撃を受けてから原因を調査し、初めてその弱点に気づく、ということも起こり得ます。

これでは遅いのです。

何をしたのか

そこでAnthropicは、Claude Mythosを誰でも使える形では公開せず、防御目的で活用できる限られた組織に提供する形を取りました。

この取り組みが「Project Glasswing(プロジェクト・グラスウィング)」です。
これには、AppleやGoogle、Microsoftなど、世界的なIT企業が名を連ねています。

特に金融分野では、各国で対応が進んでいます。
アメリカでは大手銀行がClaude Mythosへの対応を急いでおり、ヨーロッパでも銀行に備えを促す動きが出ています。
日本でも、メガバンクがClaude Mythosにアクセスできるようになる見込みだと報じられています。

まとめ

Claude Mythosの話題は、生成AIの機能が新たなステージに到達したことを意味しています。

これからの生成AIは、プログラムを作るだけではありません。
プログラムの弱点を探し、直し、防御に役立てるところまで広がっていくかもしれません。

ですが、便利になる一方で、悪用されたときの影響も大きくなります。
だからこそ、「すごいAIが出た」で終わらせるのではなく、そのAIが何に使われるのか、どのように管理されるのかにも目を向ける必要があります。

生成AI最前線第1回 ChatGPTに広告が出る? 生成AI時代の「無料」とどう向き合うか

「文章を考える」
「調べ物をする」
「仕事の相談をする」

ChatGPTのような生成AIは、とても身近な存在になってきました。

そんな中、ChatGPTに広告が表示される可能性が出てきています。
どういうことでしょうか?

何が起きようとしているのか

OpenAI(ChatGPTの開発元・提供元)は、ChatGPT内に広告を表示するテストを進めています。
元々はアメリカで始まったものですが、今後は日本にも範囲を広げると発表されました。
対象は主に無料・低価格プランのユーザーで、有料の上位プランや法人・教育向けプランは対象外とされています。

公式サイトの発表(英語)
https://openai.com/ja-JP/index/testing-ads-in-chatgpt/

つまり、現時点では「すべての人に広告が出る」と決まったわけではありません。
まずは一部の地域やプランで試しながら、利用者の反応を見ている段階です。

一番気になるのは「回答」

広告と聞いて一番気になるのは、「広告によってChatGPTの回答が変わってしまうのか」ではないでしょうか?
例えば、AIは事実を調べてくれただけだと思ったら、その内容が実は広告だった。
利用者からすると、「広告なのに広告だと分からない」というのは困りますよね。

この点について、OpenAIは「広告はChatGPTの回答に影響しない」と明言しています。
これはひとつの安心材料です。

とはいえ、ChatGPTからの回答に広告が表示されていれば、利用者はどうしても意識してしまいます。
つまり、ChatGPTの回答は変わらなくても、受け手の印象は変わる可能性がある、ということです。

なぜAIサービスに広告が必要になるのか

一方で、「そもそも、ChatGPTに広告なんて不要だ」と感じる方もいると思います。
ネット広告にあまり良い印象を持っていない方もいるかもしれません。

ですが、生成AIを動かすためには、サーバーや電力、人材、研究開発など、たくさんのお金が必要です。
多くの人が無料で使える状態を続けるには、どこかで収益を得る必要があります。

歴史的に見れば、検索エンジンやSNSも、広告があることで無料で使えていました。
その流れを考えると、ChatGPTに広告が入るのも、仕方ない部分はあると思います。

まとめ

広告が表示されるからといって、すぐにChatGPTがダメになるわけではありません。
ただ、これまでは意識しなくてよかった「回答と広告の区別」について、今後は少し注意が必要になってきます。

これは単なる事実か? 宣伝目的の広告か?
AIの回答を無条件に信じるのではなく、広告表示や根拠を確認しながら使わなければなりません。
仕事で使う場合は、広告が表示されない法人向けプランを検討する必要もあるかもしれません。

生成AIは、とても便利な道具です。
ですが、何事も無料・安価で使える裏には、必ずそれを支える仕組みがあります。
これからの生成AI時代には、便利さだけでなく、その仕組みも理解しながら付き合っていくことが大切です。